映画と本の『たんぽぽ館』

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愛しき人生のつくりかた

2016年08月29日 | 映画(あ行)
おばあちゃん思いの青年がステキ



* * * * * * * * * *

マドレーヌ(アニー・コルディ)は、パリの小さなアパルトマンに夫と共に暮らしていました。
ところが夫に先立たれ、一人暮らしになってしまいます。
彼の息子・ミシェル(ミシェル・ブラン)は母の一人暮らしを心配するあまり、
マドレーヌを老人ホームに入れてしまうのです。
それでも、ミシェルの息子、つまりマドレーヌの孫・ロマン(マチュー・スピノジ)は、
おばあちゃんが心配で、度々様子を見に現れます。
おばあちゃん思いの優しい青年であります。
ところが、資金不足から、ミシェルはマドレーヌのアパルトマンを売却してしまい、
そのことでショックを受けたマドレーヌはホームから失踪。
祖母は生まれ故郷のノルマンディに行ったらしいと見当をつけたロマンが、
ノルマンディに向かいます。



マドレーヌがノルマンディを出たのは、まだ彼女が小学生の頃。
戦争のためでした。
それ以来一度も彼女は故郷に戻っていなかったのです。
祖母の生きた年月が重く感じられるロマン。
でもちゃっかり自分の恋愛模様もプラスしてしまうところが、さすが現代の青年。



さて、ところでちょっとひどい息子に思えるミシェルの方ですが、
彼ものんきにしているわけではないのです。
ちょうど長年勤めた郵便局を定年退職したところ。
それで、どうにも調子が出ないのです。
「夫はもう情熱を失ってしまっている」と感じている妻ともギクシャク。

文学部の学生で、ホテルの夜勤のアルバイトをしているロマンは、
祖母や両親2世代の大人たちを見つめ、優しくいたわります。
両親が離婚?!と、ゴタゴタし始めてもやんわり受け止めて、
そっと気持ちを聞き出すあたり、う~ん、いい奴だなあ・・・。
こういう息子が育つもの、やっぱりきちんとした親だからなんじゃないでしょうか。
本作を見ているとほんとにそう思います。



ロマンの変人の友人がまた、いい味出しててステキ。
ロマンの勤め先のホテルの主人役を務めていたのが、監督さんだったんですね!



楽しんで見られるハートウォーミングストーリーです。

愛しき人生のつくりかた [DVD]
ジャン=ポール・ルーヴ,ダヴィド・フェンキノス,ダヴィド・フェンキノス
アルバトロス


「愛しき人生のつくりかた」
2014年/フランス93分
監督・脚本:ジャン=ポール・ルーブ
原作:ダビド・フェンキノス
出演:ミシェル・ブラン、アニー・コルディ、シャンタル・ロビー、マチュー・スピノジ、ジャン=ポール・ルーブ

ハートウォーミング度★★★★★
満足度★★★★☆