何十年も前ではない、“今”の話。

* * * * * * * * * *
本作は、何十年も前の話?と思えてしまうのですが、
いえ、現在の話でした!

北トルコ。
イスタンブールからは遠く離れた片田舎。
ある5人姉妹が、10年ほど前に両親を事故で亡くして以来、
祖母の家で叔父たちと暮らしています。
ある学校帰り、男の子たちと無邪気に遊んで帰ると、
いきなり一人ずつ呼ばれて祖母の折檻が始まります。
姉妹が「ふしだら」だというのです。
更に叔父はなおのこと怒り、彼女たちに家から一歩も出ないようにと言いつけます。
携帯も取り上げ、パソコンも片付けてしまいます。
そして毎日毎日親族のおばさんたちから料理を仕込まれる。

なんて退屈な毎日。
けれども、彼女たちのはちきれそうな若さやエネルギーを抑えこむことなんかできません。
彼女たちは、こっそり二階の窓から抜けだしたりもしていたのですが・・・。
やがて、一人、また一人と家族が勝手に決めた相手に嫁がされてしまいます。
そしてさらに、窓には鉄格子、家の周りには高い塀。
次第に簡単にはぬけ出すこともできない監禁状態になっていきます。
驚くべきことに、結婚の最大の条件が無垢、すなわち処女であること。
彼女らは病院で検査され、
初夜に婿の母がシーツについた出血具合まで確かめたりするのです・・・。
だからこそ、若い娘の行動に異常に反応してしまう叔父たちなのです。
しかし、秘め事は女一人でするものではありません。
必ず、相手の「男」がいるのです。
それなのに女性だけがせめられるなんて、そんな馬鹿なことがありますか?
今時の日本なら、あっという間に『セクハラ』で訴えられますねえ・・・。
しかし、この地ではこれが常識。
あまりにも女性にばかり不利な「結婚」ではありませんか・・・。

この5人の末っ子がラーレで、まだ13歳。
姉たちの悲惨な運命を見て、絶対に同じ目にはあいたくないと思います。
自由を得るため、車の運転を覚え、髪を切って身代わりの人形を作り、
いつか逃げ出すチャンスを伺います。
彼女の清々しいほどの自由への希求と行動力が、なんとも心地よい。

それにしても、自分の暮らす家なのに、
そこをぬけ出す時のあの緊張感やスリルが、とてもハンパではなくドキドキさせられます。
多分、世界では似たようなところがまだまだあるのではないでしょうか。
姉妹は学校で自由な女性像をも学んで知っているのです。
そういう知識と、実際の身の回りの人々の意識のギャップに
余計苦しめられてしまったのかもしれません。
世界中の女性たちの夜明けは、まだまだ遠いのかなあ・・・。
そんな女性たちに、ラーレが光を照らすようでした。
「裸足の季節」
2015年/フランス・トルコ・ドイツ/94分
監督:デニズ・ガムゼ・エルギュベン
出演:ギュネシ・シエンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル、エリット・イシジャン、イライダ・アクドアン
女性の自立を考える度★★★★★
満足度★★★★★

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本作は、何十年も前の話?と思えてしまうのですが、
いえ、現在の話でした!

北トルコ。
イスタンブールからは遠く離れた片田舎。
ある5人姉妹が、10年ほど前に両親を事故で亡くして以来、
祖母の家で叔父たちと暮らしています。
ある学校帰り、男の子たちと無邪気に遊んで帰ると、
いきなり一人ずつ呼ばれて祖母の折檻が始まります。
姉妹が「ふしだら」だというのです。
更に叔父はなおのこと怒り、彼女たちに家から一歩も出ないようにと言いつけます。
携帯も取り上げ、パソコンも片付けてしまいます。
そして毎日毎日親族のおばさんたちから料理を仕込まれる。

なんて退屈な毎日。
けれども、彼女たちのはちきれそうな若さやエネルギーを抑えこむことなんかできません。
彼女たちは、こっそり二階の窓から抜けだしたりもしていたのですが・・・。
やがて、一人、また一人と家族が勝手に決めた相手に嫁がされてしまいます。
そしてさらに、窓には鉄格子、家の周りには高い塀。
次第に簡単にはぬけ出すこともできない監禁状態になっていきます。
驚くべきことに、結婚の最大の条件が無垢、すなわち処女であること。
彼女らは病院で検査され、
初夜に婿の母がシーツについた出血具合まで確かめたりするのです・・・。
だからこそ、若い娘の行動に異常に反応してしまう叔父たちなのです。
しかし、秘め事は女一人でするものではありません。
必ず、相手の「男」がいるのです。
それなのに女性だけがせめられるなんて、そんな馬鹿なことがありますか?
今時の日本なら、あっという間に『セクハラ』で訴えられますねえ・・・。
しかし、この地ではこれが常識。
あまりにも女性にばかり不利な「結婚」ではありませんか・・・。

この5人の末っ子がラーレで、まだ13歳。
姉たちの悲惨な運命を見て、絶対に同じ目にはあいたくないと思います。
自由を得るため、車の運転を覚え、髪を切って身代わりの人形を作り、
いつか逃げ出すチャンスを伺います。
彼女の清々しいほどの自由への希求と行動力が、なんとも心地よい。

それにしても、自分の暮らす家なのに、
そこをぬけ出す時のあの緊張感やスリルが、とてもハンパではなくドキドキさせられます。
多分、世界では似たようなところがまだまだあるのではないでしょうか。
姉妹は学校で自由な女性像をも学んで知っているのです。
そういう知識と、実際の身の回りの人々の意識のギャップに
余計苦しめられてしまったのかもしれません。
世界中の女性たちの夜明けは、まだまだ遠いのかなあ・・・。
そんな女性たちに、ラーレが光を照らすようでした。
「裸足の季節」
2015年/フランス・トルコ・ドイツ/94分
監督:デニズ・ガムゼ・エルギュベン
出演:ギュネシ・シエンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル、エリット・イシジャン、イライダ・アクドアン
女性の自立を考える度★★★★★
満足度★★★★★