生き方を見直すとき
* * * * * * * * * *
本作の主人公、マリエが勤めているのはノルウェーの計量研究所。
そこにはノルウェーの1kgの基準となる大事なおもり「キログラム原器」があったりします。
マリエはそこの研究員。
ということで、え~、こんな世界があるのかという、
なんとも専門的かつオタクな舞台。
だから難しくて退屈かと思えば、
なるほど、次第にこのストーリーとこの仕事の密接な関係が浮き上がってくるので、
なかなか興味深く見ることができました。
マリエは現在夫と離婚調停中。
広い家にただ一人で暮らしています。
淡々と仕事をこなしますが、終始難しい顔をしています。
同じ職場に勤める父は、仕事上でも頼りになる大先輩。
時おり父の家を訪ねたりしながら単調な毎日を過ごします。
そんなある日、マリエは、病に倒れた父の代わりに、
パリで行われる国際セミナーに出席することに。
大事な「キログラム原器」を持ってパリへ出かけたマリエは、
そこである男性と出会います。
舞台立てはかなり特殊ですが、つまりは一人の女性の再生の物語なのです。
敬愛していた父親が亡くなり、
同時に大事なキログラム原器まで損なってしまう。
つまりは、彼女の人生の基準である「父」とキログラム原器が重ね合わされているのです。
が、その基準を失った彼女は、
また新たな基準を見出して生きていく・・・。
終盤、あれほどまでに頑なだった彼女の顔つきが、すっかり和らいでいくのがいい。
以前「21グラム」という映画作品がありましたが、
ここでもそのことに触れられていて、
つまり、人の魂の重さが21グラムだというのです。
マリエは、父の遺灰をこっそり職場に運び、その重さを図ってみる。
1022グラム。
ところが見ているうちにどんどん軽くなっていくのです。
数字が小さくなっていって止まったところが1001グラム。
その差分はどうしたのか?
父親の魂が今解放されたのだ、と思うマリエの表情に注目です。
マリエの愛車の電気自動車が可愛かったなあ・・・。
副題、「ハカリしれない愛のこと」は、
むしろ「ハカリしれない人生のこと」というべきかもしれませんが、
まあ、それではいかにもカタいでしょうか。
「キッチン・ストーリー」とか、「ホルテンさんのはじめての冒険」とか、
やはり好きな監督さんです。
「1001グラム ハカリ知れない愛のこと」
2014年/ノルウェー、ドイツ・フランス/91分
監督・脚本:ベント・ハーメル
出演:アーネ・ダールトルプ、ローラン・ストーケル、スタイン・ビンゲ、ヒルデグン・リーセ
人生を考える度★★★★☆
満足度★★★★☆
* * * * * * * * * *
本作の主人公、マリエが勤めているのはノルウェーの計量研究所。
そこにはノルウェーの1kgの基準となる大事なおもり「キログラム原器」があったりします。
マリエはそこの研究員。
ということで、え~、こんな世界があるのかという、
なんとも専門的かつオタクな舞台。
だから難しくて退屈かと思えば、
なるほど、次第にこのストーリーとこの仕事の密接な関係が浮き上がってくるので、
なかなか興味深く見ることができました。
マリエは現在夫と離婚調停中。
広い家にただ一人で暮らしています。
淡々と仕事をこなしますが、終始難しい顔をしています。
同じ職場に勤める父は、仕事上でも頼りになる大先輩。
時おり父の家を訪ねたりしながら単調な毎日を過ごします。
そんなある日、マリエは、病に倒れた父の代わりに、
パリで行われる国際セミナーに出席することに。
大事な「キログラム原器」を持ってパリへ出かけたマリエは、
そこである男性と出会います。
舞台立てはかなり特殊ですが、つまりは一人の女性の再生の物語なのです。
敬愛していた父親が亡くなり、
同時に大事なキログラム原器まで損なってしまう。
つまりは、彼女の人生の基準である「父」とキログラム原器が重ね合わされているのです。
が、その基準を失った彼女は、
また新たな基準を見出して生きていく・・・。
終盤、あれほどまでに頑なだった彼女の顔つきが、すっかり和らいでいくのがいい。
以前「21グラム」という映画作品がありましたが、
ここでもそのことに触れられていて、
つまり、人の魂の重さが21グラムだというのです。
マリエは、父の遺灰をこっそり職場に運び、その重さを図ってみる。
1022グラム。
ところが見ているうちにどんどん軽くなっていくのです。
数字が小さくなっていって止まったところが1001グラム。
その差分はどうしたのか?
父親の魂が今解放されたのだ、と思うマリエの表情に注目です。
マリエの愛車の電気自動車が可愛かったなあ・・・。
副題、「ハカリしれない愛のこと」は、
むしろ「ハカリしれない人生のこと」というべきかもしれませんが、
まあ、それではいかにもカタいでしょうか。
「キッチン・ストーリー」とか、「ホルテンさんのはじめての冒険」とか、
やはり好きな監督さんです。
1001グラム ハカリしれない愛のこと [DVD] | |
アーネ・ダール・トルプ,ロラン・ストッケル,スタイン・ヴィンゲ | |
KADOKAWA / 角川書店 |
「1001グラム ハカリ知れない愛のこと」
2014年/ノルウェー、ドイツ・フランス/91分
監督・脚本:ベント・ハーメル
出演:アーネ・ダールトルプ、ローラン・ストーケル、スタイン・ビンゲ、ヒルデグン・リーセ
人生を考える度★★★★☆
満足度★★★★☆