水面に波紋が広がるように・・・
* * * * * * * * * *
7年前、25歳で死んでしまった一樹。
遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、
テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、
周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。
本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、
人気夫婦脚本家による初の小説。
書き下ろし短編「ひっつき虫」収録!
* * * * * * * * * *
本屋大賞第2位という触れ込みで売りだされている本ですが、
いやなるほど、それも納得、じんわり心にしみる感動作です。
そもそも私、この著者のことをよく知っていなかったのですが、
和泉努さん、妻鹿年季子さん、
脚本家ご夫婦のユニットなんですね。
だから確かによくプロットが練ってあって、
人物関係が繋がり合っていくところなどはとても楽しい。
本作で軸になるのは、7年前に、25歳で病で亡くなった一樹。
そんな彼を取り巻く周りの人々の今や過去を
まるで水面に落ちた一滴の雫から波紋がゆったりと広がっていくように、
描いています。
残された嫁、テツコは、今も一樹の父であるギフと一緒に暮らしています。
そんなテツコの恋人である岩井さんは、
テツコと結婚したがっているのですが、
テツコにはそんなつもりはないように見受けられる。
一方、隣家に住み、一樹の幼なじみでもあるタカラは、
飛行機の室内乗務員だったのだけれど、
ある日「笑うこと」を忘れてしまい、仕事をやめている。
けれど、同じく「困った」状況にある元同級生と出会って、
新たな道を歩み始める。
かつてパチンコ依存症であったというギフは、
何故かテツコの恋人、岩井くんと親しくなっていく・・・。
人と人との関係はこんなふうに何気なくどこかでつながっているのかもしれません。
誰もが悲しみを胸にしまいながら、
だけれど、大げさに泣き叫んだりはしない。
そっとその悲しみを見つめて、むき合って、
そして人と人との出会いの中で悲しみを癒していく。
静かで味わい深く、ほんのり癒し系の作品です。
「昨夜のカレー、明日のパン」木皿泉 河出文庫
満足度★★★★★
昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫) | |
木皿 泉 | |
河出書房新社 |
* * * * * * * * * *
7年前、25歳で死んでしまった一樹。
遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、
テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、
周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。
本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、
人気夫婦脚本家による初の小説。
書き下ろし短編「ひっつき虫」収録!
* * * * * * * * * *
本屋大賞第2位という触れ込みで売りだされている本ですが、
いやなるほど、それも納得、じんわり心にしみる感動作です。
そもそも私、この著者のことをよく知っていなかったのですが、
和泉努さん、妻鹿年季子さん、
脚本家ご夫婦のユニットなんですね。
だから確かによくプロットが練ってあって、
人物関係が繋がり合っていくところなどはとても楽しい。
本作で軸になるのは、7年前に、25歳で病で亡くなった一樹。
そんな彼を取り巻く周りの人々の今や過去を
まるで水面に落ちた一滴の雫から波紋がゆったりと広がっていくように、
描いています。
残された嫁、テツコは、今も一樹の父であるギフと一緒に暮らしています。
そんなテツコの恋人である岩井さんは、
テツコと結婚したがっているのですが、
テツコにはそんなつもりはないように見受けられる。
一方、隣家に住み、一樹の幼なじみでもあるタカラは、
飛行機の室内乗務員だったのだけれど、
ある日「笑うこと」を忘れてしまい、仕事をやめている。
けれど、同じく「困った」状況にある元同級生と出会って、
新たな道を歩み始める。
かつてパチンコ依存症であったというギフは、
何故かテツコの恋人、岩井くんと親しくなっていく・・・。
人と人との関係はこんなふうに何気なくどこかでつながっているのかもしれません。
誰もが悲しみを胸にしまいながら、
だけれど、大げさに泣き叫んだりはしない。
そっとその悲しみを見つめて、むき合って、
そして人と人との出会いの中で悲しみを癒していく。
静かで味わい深く、ほんのり癒し系の作品です。
「昨夜のカレー、明日のパン」木皿泉 河出文庫
満足度★★★★★