ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

コント大会、今年の優勝は?

2018-10-02 14:09:23 | コント

 さて、満席のお客さん。反応はどうだったかな?

 まずはオープニング。白布を掛けた長テーブル2脚の上に、遺骨と位牌と遺影と焼香セットが4組。なかなかインパクトあるセッティングだ。登場するのは4人の婆さん、その平均年齢は、なんと25歳!?くらい。そう、若手4人が年寄りに扮するという意表をついた仕掛けだ。しかも、四人はすべて葬儀を待つ死者たち。これは面白くないわけがない。菜の花座の花形婆役者?ナオミが演出と演技指導、ダンスの方はカナミが担当して仕上げた。そう、ダンス踊るんだよ。それもかのバブリーダンス「ダンシングヒーロー」!まっ、ほとんどこれが見せたくて書いたコントだ。よたよた婆さんが激しいダンス、これ受けないわけない。若手4人の婆さんぶりも微笑ましく、観客全員投票の審査でも3位に入る健闘だった。

 2番手は高畠高校演劇部。シンデレラのアナザーストーリーを自分たちで作品に仕上げた。美しくないと言われた御妃様が、美容整形する、なんて題材はいかにも女子高生のネタだよな。若者受けのギャグ満載で大いに笑いを取っていた。ただ、残念なことに観客はシニアがほとんど、ちょっと通じない部分もあったかな。あと、整形の結果が馬ってのは、ひねりが足りず、被り物利用だったので、なぁぁんだ、がっかりって思ってしまった。馬になるって、シェークスピアの「夏の夜の夢」に出て来るアイディアだものね。

 次は菜の花座の安倍ちゃん風刺コント第2弾だ。セクハラを責められた会社社長が、危機管理コンサルタントに切り抜け方の指南を受ける。指導するのは、安倍ちゃんの片腕、麻生さんのパロディ麻生田さんという女性コンサル。嘘はつき通すとか、証拠はもみ消すとか、責任は部下になすり付けるとか、弁明は抽象的で実のない言葉を連ねるといった安倍ちゃん手法を伝授する。かなりずばずばの風刺コントだったから、お客さんもちょっと引いてしまったかな。観客の半数程度からしか支持を得られなかった。ちょうど安倍ちゃんの不支持率と同じだよ、なんて、役者たちは納得していた。安倍ちゃん手法を理解してるる人でないと面白さは感じないわけで、そういう意味ではかなり高度なインテリジェンスが求められるから、どこがおもしろいのかわからないって人も多かったと思う。そこは、永井愛さんの「ザ・空気Ⅱ」の観客とは違うよな。おっと、役者も違うし。

 米沢中央演劇部のコンビニ強盗もの、これはダントツに面白かった。僕の審査では間違いなく優勝だね。既成の作品だってところが残念だったけど、よくできた本を見事に消化し切っていた。何より間がいい。見事に笑いの間をつかんでいた。それと、出演者3人の個性が、この作品にぴったりで、気の弱い強盗とやる気のないアルバイト店員、おネエ系の店長、どの役もうん、はまってる!と、感心しつつ見ることができた。ここでも残念んながら、観客の年齢が高過ぎた。審査結果は菜の花座の婆さんのインスタグラムものに一歩届かなかった。

 婚活成就は、二つの仕掛けで笑わせる。一つは勘違い。娘の婚活相手を探しに来た男を婚活希望者当人と勘違いして発生するトンチンカンな会話。もう一つは、筋トレとプロレスが趣味という行き遅れの娘と父親、ポケモンに夢中のオタク息子とべったりの母親、このトンでも親子の話しだ。プロレスシーンに等身大のバルーンを用意したり、婚約成立の二人が花婿、花嫁の顔出し看板とか、面白い仕掛けをたっぷり準備して喝采を受けていた。ただ、何とも言っても、セリフが詰まる!その分、間延びする。役者の素が見えるという致命的ミスを犯してしまった。残念。

 優勝したのは、シニア4人で作った「激闘!インスタ映え」。これは、なんと言っても、仕掛けの秀逸さが決め手だった。真ん中に可動型の壁を立て、それを上下に移動させながら、二人の婆さんインスタグラマーがそれぞれ別のインストラクターと組んで、盛りに盛った写真を撮り、いいね稼ぎのインスタ投稿を競い合うといものだ。一方が演じている間に別の婆さんが盛り過ぎのシーンを準備して、ぱっと一気見させる。この繰り返しが、ついには高速度での場面転換となり、死にまで行きついてしまうというナンセンスコントだ。方や出るだけで笑いが起きるおとぼけ役者、一方はエネルギーはち切れの元気婆さん、この二人のコントラストと頑張りも強力だった。つかみの部分で笑いが取れなかったので、心配したが、ラストのクライマックスは大爆笑となって安心した。

 と、6本ともにレベルも高く、大いに客席を沸かせる作品になっていた。年々質が上がって行き、それが集客につながっているってことだ。あるいは、来年は満員札止め、立ち見も出る、なんてことにも成り兼ねんなぁ。あっ、いかん、鬼の笑い声がぁぁぁぁ!

コメント
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