「Netflixから幾らもらってんの?」
台本のト書きにゃ、Netflix映画『ケーブルガールズ』参照のこと、なんて書きこんでるし、稽古終わりの一言は韓国映画『ヴィンチェンツォ』についてだもんな。突っ込まれたって無理はないな。
いやいや、もらってないからも何にも!いや、もらってる、素晴らし物語の数々を。もう、どうしたって宣伝しちまうさ。
『ケーブルガールズ』参照なんて書いたのは、衣装の参考にして欲しかったからなんだ。菜の花座が稽古始めた『ダンスホールMitsu』、時代設定は大正9年。『ケーブルガールズ』とほぼ同じ頃なんだ。当時の花形電話交換手を描いたスペイン映画だが、当時の先端的な女性たちの颯爽たる姿、振舞いが眩く魅力的な映画だ。テーマも同じ、「女の自立」だしね。
わずか100年前のことでも、その変わりようはかなり大きい。日本だと、髪を結うのを止めて断髪が流行り始めた頃だ。服も着物から洋服へ。その洋服も、今からじゃとても想像できないデザインが多い。それより少し前にさかのぼると、コルセットで同を締め上げたドレス風ロングスカートだから、ヨーロッパ、アメリカもこの頃が一つの大きな転換点なんだろうな。
映画や金のある劇団なら、装置なんかで作り込んで時代を表現できるだろうが、いくら優秀な装置さん抱える菜の花座でもねえ、調度品とかで雰囲気だすのは難しい。台本も、形にはまらず今と当時を行ったり来たりするから、せめて、衣装ぐらい、大正のムードを振りまいてもらいたって思ったんだ。
それと、優れた物語を存分に楽しめる。展開の妙や、思いがけない演出、気の利いたセリフや、気になる仕草や演技なんかも、ふんだんに出て来る。映画やテレビと違って、撒き戻しも可能だしね。演劇と関わる人にとって、Netflix 映画はこれ以上ない勉強場所なんだと思うんだ。題材や時代もとてつもなく幅が広いから、世界そのものを大きく広げてくれる。日本のテレビドラマのチマチマした生活空間とは大違いだぜ。
ねっ、タダでも宣伝しちまうわけなのさ。
正直白状しちまうと、今回の台本、シーン割りを多くとかミステリー要素を盛り込むとかなんてのも、Netflix映画の影響なのさ。中身ない奴は、真似して自分色出すしかないものな。
うちの女優たちには、『オーファンブラック』
のタチアナ。マスラニーの一人7役?8役?なんてぜひ見て欲しいし、『ヴィンチェンツォ』の女弁護士ホン・チャヨン役の、チョン・ヨビンの性格ねじ曲がってた最初の頃の、変幻自在の百面相は、絶対見ものだと思う。
いったいどんだけコンテンツあるのか知らないが、選り取り見取りで月1490円!安いよ、安いよ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!もう、劇団員の必須資格にしてしまいたいほどだぜ。なぁんて、書いても、1円だって入っちゃこないけどな。