根がひねくれ者なのさ。世の中、もろ手を挙げて喜んでると、ちっと待てや!ってちょっかい出したくなる。生き方の基本が、いかに他人と違えるか、なんだから、こういう偏屈者の言うことは、適当に聞き流しゃいいさ。ただ、時折、回り回って、裏から的を射てた、なんてこともあるから、その辺の穴狙いで耳傾けてもらおうか。
最近の話題でどうにも居心地悪いのが、ワクチン騒ぎだ。日本の対応が遅れを取ってるとか、摂取方法に課題満載だとか、まして、専任担当大臣の手腕に不安があるとか、って斜め読みの立場からの違和感じゃない。
ワクチン出回れば、安心だ、これでコロナを克服できる。今年中には以前の暮らしに戻れる。この安堵感が広がってることがどうもなぁ???ってことなんだぜ。
以前の暮らし!戻れれば、それで問題解決なのかい?人々が町に溢れ、観光地は賑わい、グローバルな交流が復活する。それですべてご破算か?一時中断から再スタートか?ワクチンの目途立たない頃にゃ、これを機に、社会のあり方、人々の暮らしぶり、世界の仕組みを変えて行こう、って発言そちこちに聞こえてたと思うんだ。人間と自然、とりわけ地球環境とのお付き合いの方法や、格差の問題、国内的にも国際的にも。いろんな課題が吹き出てきて、みんなして、コロナ後の世界を真摯に考えようとしてたんじゃないのかい?
見えてきたこと、いろいろあったと思うぜ。都会は人がぎっしり地方はまばら、リモートワークで是正の可能性ちらっと見えたんじゃないのか?非正規労働者の不安定な生活とコロナでも儲ける富裕層(株価は上がり続け、贅沢品の需要は伸びている)との格差実態もあからさまになって来た。観光、リバウンド頼りの日本経済の貧しさ。新自由主義の危うさや限界。やたら動きたがる人々や外食への過度の?依存とかも、考え直した方がいい。政権政治家の危機対応力のなさと官僚の能力低下もはっきりした。一方、地方自治体の大切さや健全性も目の当たりした。
もう、これまでのような暮らしぶりを続けてるわけにゃいかない!ってことだろう。これを学ばずして、この大きな災厄から何を学ぶと言うんだい?
大きく言えば、自然との共存、これがコロナが突きつけた最重要な課題なんだぜ。
ワクチン開発ってなんだ?人間がコロナに打ち勝つ?科学の勝利?万能の人類!地球の覇者・ホモサピエンス!!
おいおい、これじゃ、いつか来た道、行き止まりへとまっしぐら。奈落への道を突き進むだけのことじゃないか。
ワクチンが多くの命を救ったし、これからさらに大きな貢献をするだろう。それは喜ばしいことだ。それを成し遂げた科学者たちの努力は素晴らしい。せっかくの成果をしっかり生かして、多くの人たちを生命の危機から救って欲しい。
だがな、これですべて解決、万々歳にしちゃいけないってことなんだ。先ごろNHKのドキュメンタリーで2050年の地球・食糧危機を見た。農薬と化学肥料とによる略奪農業と水資源の枯渇、先進国の飽食と無駄な廃棄、これらが世界的な危機をもたらす。それを回避できるとすれば、これから10年の歩み方が鍵になるって内容だった。
コロナ禍をどう生かすか?ワクチンだけが回答じゃないはずだ。ワクチン早く!って浮かれてばかりいないで、しっかり考えようぜ。