人間関係のストレスを軽減させて健康的に生活する 2024/8/5
前書き)
6月30日から数回にわたり、心療内科の設立者
池見博士の診療の指針と自然治癒力セラピーの健康への
アプローチとの、接点を考えている。
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池見博士は、PAC の三つのアルファベットに象徴される
心の統合性を心身相関関係から、大切に考えて、診療されてきた。
Aは(大人の心)
P は(親の心)
C は(子供の心)
上にあげた三つの心を、今の自分に占める感情と
照らして考えてみましょう。
そうすることで、客観的に、相手と自分の置かれた
状況を見つめることができるので、相手を責めたり、
自己否定的にならずして、中道な自分の立ち位置を
見出す知恵が得れるかもしれません。
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本音、建て前、という言葉があるように、人は、本当の事
を意識の奥に隠して、人と交流している。
そうすることで、誤解や、互いに甘え合っている状況が
無意識に生まれて、軋轢(あつれき)の原因になることが
多々ある。
人間関係の行き違いは、日常的に、家庭、学校、会社、近隣同士
の間にみられ、そのことで、ストレスを抱える人も少なくない。
原因は、相手が本当は、何を求めているかきちんと理解できて
いないことから始まるようだ。
言葉のキャッチボールだけでは、気が付かないことは多い。
言葉一つ一つに対する、受け止め方が、自分と相手では異なる
からだ。
今日から少しずつ、こうした、人間関係(交流)にみられる問題の
ケースを分類してみたい。
日常生活で起き得る、人間関係の問題を、客観的に解決する糸口に
なれば幸いだ。
ストレス=心の凝縮=心身病の種 なのだから、早めに、解決する
のに越したことはない。
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池見博士の分類によると、人と人との交流には、三つの
大きなパターンがある:
①相手と自分との間に、理解のもとに
互いに期待通りの言動が得られる場合(平行的交流)
②、相手と自分との間に、誤解が生じて
相手から期待通りの言動が得られず、予想外の反応に
驚く場合(交互的交流)
③相手と自分との間に、言葉とは裏腹な意図や目的が
あるため、本意とは異なる言動が取られる場合(仮面的交流)
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では それぞれのパターンを具体的に見てみよう。
①は、
”今日、何を食べる?”
”何でもいいけど”
”では、いつもの時間通りに、簡単なものを作るわ”
”OK"
とか
”この仕事は、いつできますか?”
”明日の夕方までには仕上がります”
のような、何気ない、会話。 前者は、家族同士、後者は、
客と店員、もしくは、上司と部下の会話だ。
PAC(上の三つの心)でいえば、AとAの立場同士の会話といえる。
平行的交流とよぶ。
②は、行き違いが生じるパターンだ。
”課長、資材の値上がりで、この見積どおりでは難しいです”
”君は、資材の値上がりを見越して、見積したのではないのかね?
そういう前に、なんとか改善策を見つける頭は無いのかね?”
部下と上司の会話である。
部下は、事実の報告をしたのだが、課長はその仕事を簡単に
やめるわけはできないという思いから、怒りの表情で部下に対して
自分のPのポジションから 部下のCの心に対して、不満の
メッセージを送っている。
これは、上司が部下に、もっと、積極的に仕事を進める態度を
期待していたのが、裏切られたときに、二人の交流は、行き違い、
つまり、交叉している。
③は、本音が隠れてしまい、表面的には思いと異なる言動が
出る場合だ。
池見博士は、”たとえば、好きで好きでたまらない人に会うと、
つい反対の言葉や態度に出てしまう場合”と例をあげている。
反対に、とても気が合わないと思う人に、それを露骨に出さない
よう、無理して、親しげに”お話できて楽しかった”などと、
嫌いな相手に、社交辞令を言う場合もあるだろう。
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人間関係のギクシャクした背景には、交叉的交流があり、
仮面的交流が、それを生み出している場合がある。
次回は、もう少し、ケースバイケースで、これを見ていきたい。
(続く)
参考)
”セルフ・コントロールの医学” 池見酉次郎s・57年9月1日 日本放送出版協会
”ストレス健康法” S.50 池見酉次郎 ㈱潮文社
”セルフコントロールー交流分析の実際” 池見酉次郎 杉田峰康 2007年創元社
”続心療内科” 池見酉次郎 1973年 中央公論社
”心療内科” 池見酉次郎 1963年 中央公論社