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カトリック近代主義の系譜:ヘーゲルの弁証法とシュトラウス

2008年09月25日 | カトリックとは
アヴェ・マリア!

 愛する兄弟姉妹の皆様、

 近代主義と呼ばれる異端説の系譜として、ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel, 1770年 - 1831年)の思索を見てみよう。

 ヘーゲルが打ち出した原理は明確だ。ヘーゲルによれば、観念は事物であり、事物は観念である。主観は客観であり、思考は現実である。哲学は、天主(これを絶対者と呼んだ)を知る学問であり、概念は、弁証論的に矛盾を乗り越えて進歩する。キリスト教も、正・反・合という弁証法的進歩による、精神の自覚の頂点である。ただし、絶対者(天主)は、その進化の究極まで至っていない。絶対者は、宇宙の生成の過程であり、宇宙と全精神の部分である。時代の後に来る物は、必ずその前にある物よりも優れていなければならない。従って、歴史は、必ず進歩しなければならない。昔の物は、先験的に、必ず(ア・プリオリに)劣っている。

 ヘーゲルによれば、人間は自分の力で少しづつ天主のように進化する。まず感覚を得、次に知性的知識を得て、更に天主の絶対的自覚を得る。被造物の絶え間ない天主化への運動は、汎神論へと繋がる。こうして、ヘーゲルは人間を神格化し、天主を低めた。ヘーゲルの思想の奥底には、形容矛盾だが、無神論的な汎神論がある。

 宗教を人間から発出させるというヘーゲルの思想は、天主を「人間の想像の投影」とする啓蒙思想や、カントの『単なる理性の限界内での宗教』 Die Religion innerhalb der Grenzen der bloßen Vernunft と相まって、シュトラウス(David Friedrich Strauß, 1807年 - 1874年)に影響を与えた。シュトラウスは、27才の若さで『イエズスの生涯』を書き、そこで、ルターの「自由解釈」の原理を推し進め、福音書の史実性を全く否定した。全ては「神話」であり、人間の作った「創作」であり、人類の進歩の象徴であるとした。

 ヘーゲルの弁証法は、カトリックの精神界にも大きな影響を及ぼした。これについては後日見ることにしよう。

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