
4か月居た個室で。
私もコロナでお見舞い禁止だったので顔を見たのは4か月ぶり。姑はコロナにかかったわけじゃなく細菌性の発熱で、一時は意識も混濁して死にかけたが、主治医の渾身のケアでこの世にとどまることとなった。
もともと「東京オリンピックを見るまでは死なないわ」とステージⅢで肝転移もあった癌からの奇跡の復活したお方である。
一年おくれた東京オリンピックもクリアして、このままで行くとパリ五輪も見られるんじゃないですかねえ と私は予想しているのだが・・・
しかし今回は感染症はなおったとはいえ、ホントに痩せちゃったし、ここでも主治医の渾身のリハビリ指導にもかかわらず、痙縮した右ひざは伸びず、車いすに自分でのりうつって行けてたトイレも行けず、常時おむつになってしまった。
老人マンションは病院から車で15分くらい、移動には車いすから助手席に移さなければならない。
「ワタシがお母さんと一緒に乗るから介護タクシーを頼んであーたが自分の車を運転すればいいじゃない」 と言ったのだが、なぜか自分の車に乗せると言うオット。
以前は一瞬足に体重をかけて助手席にうつれたのに、今回は全くダメで、車のシートから転げ落ちそうになったあげくに自分の手の上にお尻を載せちゃって痛い痛いと悲鳴をあげる姑。
(だから無理って言ったよね)と言いたいところだが、オットは少しは姑が自力でできるってことを信じたかったみたいだ。
そして、外食やドライブが好きだった姑に以前の用に連れ出してあげたいと思ってるのだと思う。(そこまで体力ないと思うんだけどね)
これと同様、老人マンションの部屋には、いつの間にか持ってきてあった、姑の数々のよそ行きの服やコートなどでクローゼットがいっぱいで、洗面所には使うわけがない折り畳みのシルバーカーまである。
姑が食堂で昼食を食べつつほかの入居者と旧交を温めている間、それらの必要のないものを片づけようと言ったのになぜか躊躇するオット。
「おふくろ、服がなくなったって気づかないかなあ・・・ この手押し車押して歩けるのを目標にしたいって言ってたんだけどなあ・・」
情緒すぎる・・・ さっきこの施設、この部屋にも覚えがないって言ってたのだから置いてあった服など覚えてないと思うのですけどね。
そして限りある広さの部屋で、シルバーカーのスペースのかわりに置くべきものはこれなんですが

またもや鬼嫁にならざるをえないワタクシ
「私が居るうちに片づけるものを片づけないと余計大変になると思うよ。」と言ったらオットも決心がついたらしいので、もう使わないであろうものを遠慮なく捨てまくった。
姑関連、両親関連でここ数年、どれだけモノを捨てまくっただろうか。
食堂から帰って来た姑は精魂尽き果てたって感じで寝てしまった。やっぱり体力は落ちてると思う。

私たちは昼も食べる間もなくケアマネさんと訪問看護師さんたちとの打ち合わせ。
ここはいわゆるサ高住なので、介護サービスは外付けしなきゃならなくて、介護度4だと介護保険で賄いきれずに自己負担は増加する。
しかし「いいです つけてください!」とそこはオットもワタシの意見は一致する。長生きってのはなんとお金がかかるものなのでしょうね。はぁ~
介護プランを決定して色んな書類を書いて、捺印して、こちらも精魂尽き果てたって感じで姑の部屋に寄ったら
姑は目を覚ましてTVを見ていた
「局さん、あたくしは前にここに住んでいたのかしら~?」
「住んでらしたんですよ、3年。それで4か月入院してまた帰って来たんです」
「そうだったかしらね・・・ 病院に行く前にここにいたのね じゃ、〇〇(自宅)はどうなってるのかしら~?」
「お母さんのお部屋も貸してますよ。」
「そうなのね。全然覚えてないわ。あら、局さん。エリザベス女王って亡くなったのね」
「そうなんですよ。70年も女王様だったんですね」
「70年? 短いわね」 というのにズッコケた。
その後、焼き芋が食べたいというのでおむつの買い出しのついでに買ってきたらエンシュアリキッド一缶とともに芋半分を平らげて「ああ美味しいわねえ 秋になると石焼き芋~♪って声がなつかしいのよね」と何度も石焼き芋~ の呼び声の真似をして嬉しそうだった。
基本、人がいてしゃべるのが好きな人なので、ヤサシクないワタシでも話し相手がいて嬉しいみたいで
「あなたがこうしてくれてあたくしは生きていられるのね。あたくしは本当に幸せな老人よ」
と、こういう事は何度も言ってくれる。
この辺が 自分が色々出来なくなったことに焦れて、中途半端にボケて、ムスメ(ワタシ)をエネミーにしてムカついている我が母よりは扱いやすいし姑本人は幸せそうである。
自分が出来なくなったことに怒り、人に頼ることに極度に遠慮があって言い出せないしっかりもので義両親と母親までひきとってみとった長女キャラの実母と、末っ子でなんでも兄姉にやってもらって両親も義両親も夫の世話もほとんどやらなかった姑と 被介護の立場で違いすぎる両者を比較して複雑な気持ちのワタクシ。
こうなると 自分を他人に心置きなくゆだねることができるってのも美徳の一つかもしれないな などと思ったはみたものの、自分自身はこうなる前にさっさとピンコロしたいもんです。
そしてつくづくエリザベス女王って大した方だなあって思ったのであった。
オットと疲れ果てて帰宅
焼き芋と共に家用に買ってきた、今年初めてのサンマは

痩せ気味だけど美味しかった。

そして中秋の名月。スマホ撮影の限界だけど綺麗な月だった。
いつのまにか秋ですね。