1月5日。部活がはじまっているが、ニューイヤー、新人戦と、さしあたり4曲をお客さんの前で演奏できる状態にしないといけない。なかなか厳しい状況だが、新学期がはじまって予想できる事態を考えると、強制勉強の時間も取らざるを得ない。15時まで練習し、17時までは宿題完成タイムにした。
そのあと、今更ながら「ステキな金縛り」を観た。昨秋から、三谷監督があまりに番宣というか映画宣伝でテレビにでまくってて、なんとなく「よし行こう」という気持ちになれず、こんな遅くなってしまったのだ。でもよかった、観ておいて。芝居もふくめて三谷作品の最高峰ではないだろうか。芝居は観たことないけど。あ、いっこ観たな。中井貴一さんと戸田恵子さんの二人芝居。おしゃれで楽しかった。
この作品だったら、誰になんと言われようと番宣に出続ける気持ちはわかる。作品にかかわった人への感謝を形にするには、たくさんの人に観てもらうしかない。そのためなら人寄せパンダでも何でもなりますよと思ってるのだろう。「監督・脚本 三谷幸喜」というクレジットが小さいのも、謙虚ぶりっこしてるんじゃなくて、自分もスタッフの一員にすぎないとの思いからだ。
それにしてもおもしろかった。ちりばめられたネタも、全部ツボにはまった。中井貴一はかっこいいし。
深津絵里さんは、声がいい。深田恭子さんと比べると圧倒的だ。
で、2011年度の邦画ベスト3は、「奇跡」「八日目の蝉」「ステキな金縛り」に決定しました。あと「エンディングノート」「阪急電車」もよかったけど、日本映画今ひとつ盛り上がりにかけてなかっただろうか。
洋画はあんまり観てないけど「タウン」「マネーボール」「ミッション8ミニッツ」などハイレベルな作品が相当あったような気がする。
そのなかで「奇跡」は、圧倒的にすごかったと思うけど、この先の日本アカデミー賞とかそういう場ではそれほど話題にはならないのだろう。全国大会の場で、伊奈学園さんの評価がそれほど高くない年がたまにある。大きな音で大曲を演奏する派手派手バンドは評価されて、緻密な完成度の高さに気づいてもらえない、そういうのと似てるかもしれない。
1月6日。
練習のあと、東京セレソンデラックスの永田恵吾さん引退公演に新宿まで。
セレソンデラックスの5人のコアメンバーの一人である永田さんがこの公演をもって引退するという。今回は五つのチームに分かれて5本のオムニバスで構成された公演で、タイプの違うお芝居が観られてよかった。最後に永田さんのあいさつはさすがにしんみりしたなあ。
ご自身の役者としての才能、今後の人生を考えて決断したと話されていた。セレソンさんはお芝居の世界ではよく知られた存在だとは思うが、セレソンの舞台だけで生活できるとはとても思えない。
演奏活動だけで食べていける音楽家が一握りであるように、純粋に役者として、しかも舞台の仕事だけでごはんを食べていける方って、何人ぐらいいらっしゃるのだろう。
若いうちは夢を追っていられても、30歳、40歳となれば、人生どうするのかという悩みを多くの役者さんが抱くのではないかしら。
それでも、いやそれだからこそ、プロとして舞台に立っている方は尊敬に値する。役者という生き方を出来るだけですごい才能だと思う。うらやましいけど、自分にはできない。
1月7日。
本番前日はさすがにお勉強時間はとれない。でもニューイヤーの曲はなんとかなりそうになった。なったので、無理かなと思っていた小ネタを入れることにした。その確認のために帰りがけにネットカフェに寄り、松田聖子動画などをチェックする。数十年前の映像を見ると、歌唱力といい、容姿といい、楽曲といい、アイドルとしてここまでグレードが高かったのかとおどろく。今も聖子さんが現役であるのは立派だが、あと何年かしたら娘の沙也加さんに二代目聖子になってもらい、代々継承していったらどうだろう。それほど貴重な存在だと感じた。襲名披露のときは、ぜひ大向こうをかけにいきたい。
1月8日。午前の合奏で、聖子メドレー途中での「聖子コール」をいれ、手の空いてる二人に親衛隊の格好になってもらう練習。午後バスで東邦音大へ。時間に余裕をもっていったのだが、前の団体さんが15分予定の演奏を3倍くらい時間をつかっていただくという、ホームならではの無法地帯な感じで、けっこう待ち時間があった。そんなこともあり、お客さんのノリはどうかと心配したものの、一曲目「夢への冒険」が終わった瞬間の拍手で大丈夫だと思い、マイクで「のってくださいね」とおねがいした際の反応でいけると思った。願いどおりあたたかい手拍子と「フレッシュ・フレッシュ・フレッシュ!」の大合唱をしていただく。うちは賞がかかってないとき、ほんとにいい演奏ができるのさ。学校にもどり、そのままみんなでお泊まりをする。