田中達也の戦力外通告も、昔春亭銅ら美ちゃんの二つ目昇進も、人生の大きな転機だが、自分にとって阿井監督の日本ハムへの転出はおどろいた。正直寂しい。寂しいがどうしようもない。「先生、ちょっといいですか? こんど日ハムへ行くことに … 」「ええ! ほんとですか」「いろいろお世話になりました、先生の学年だより、今後話のネタにつかっていいですか」「そんなの、すきにしてください。野球部の子たちには、話したんですか」「はい。すいません応援もきてもらってて。いろいろ悩んだんですが … 」「先生、大変でしょうががんばってくださいね … 」と先日話してて、今日の新聞の扱いの大きさにおどろいた。
それはそうだろうなあ。たとえば自分ならどういう状況だろう。N響から「来シーズンの定期ふってもらえますか、先生のふりすぎない指揮が好感なので」とオファーをもらうようなものだろうか。劇団四季さんから「スイングレンジャーをミュージカル化させてほしい、演出もお願いします」と依頼されるようなものだろうか。
あっ、でもちがうな。自分は阿井先生みたくもともとプロだったわけではないのだった。
じゃあ、駿台さんから「来季、東大選抜クラスの国語チーフお願いします」と言われるようなものかな。「知性あふれるギャグが評判なので」と。断れるかなあ(だから、来ないって! そんな話)。
いちばんショックなのは野球部員たちであることは間違いない。話を聞いていたのに、学校全体にその話題が出てなかったのは、それだけ監督との信頼関係がしっかりしているからだろう。そんな彼らなら、きっと自分たちでさらに成長できるはずだ。来夏のコンクールの時期は、甲子園も想定しながら練習計画たてよう。
人生にはいろいろある。何が正しく、何が幸せなのかは、やってみないとわからない。
いや、やってみてさえ、わからない。自分が選んだ道を、もしくは自分に与えられた役割を、一生懸命こなしていくことがすべてだ。