水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

桃花源記

2013年02月27日 | 国語のお勉強(漢文)

 一年最後の漢文教材は陶淵明の「桃花源記」を読む。
 漢文は週一なのでそれを8クラスもつという今までにない形で担当したが、同じ教材を8回教えると、さすがに使えるネタとそうでないものが見極められる。
 まったく同じ話を8回してクラスの雰囲気の違いをみることもできるので、学年主任的にはありがたい持ち方だった。
 「刎頸之交」で、廉将軍が自分の非を悟り「相如」に謝りに来るところがある。諸肌脱ぎになってアザミの箠(ムチ)を担いできて、自分は打たれる覚悟で来たという当時の深い謝罪を表すやりかたで。
 こうやって、肌をだして(上着を半分脱ぐ)ね、さあこれで打ってくれ、ビシッ、もっと、ビシッ!、もっと強く!、ビシッ!! ああ!  … というのは8回やった。どん引きされたのは1クラスだったんじゃないかな。
 「桃花源記」の後半、村から帰ろうとする漁人に、別れ際に村人が釘をさす言葉がある。
 「不足為外人道也(外人の為に道ふに足らざるなり)」
 「(私たちのことは)外部の人に言うほどのものではありませんよ」と村人が言うのだ。
 つまり、桃源のこの村の存在と自分たちのことを、下界の人々に告げてはいけませんと。
 「為外人」が前置詞句だから、その下にあるのがVだね、つまり「道」は名詞ではなく、Vなんだよ。
 では、この文の「道」と同じ用法の「道」は次のうちどれでしょう。
  a柔「道」 b「道」徳  c報「道」 d「道」端アンジェリカ
 が今回ちょっと気に入ったネタ。
 これでもピンと来ない子はいるので、正解の「報道」と同じ構成の熟語は次のうちどれでしょう、と問う。
  a流氷 b地震 c読書 d善悪 e歓喜
 eですね。報道ステーションの「報道」って、伝える、言う、知らせるという意味が近い漢字を重ねた熟語です。
 そして、直前に『字統』で確認した「道」の語義を、いかにも昔から知っていたかのように語るという名人の授業を展開する。今年度の授業も大詰めになってきた。

コメント
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