昨日は、本校ラグビー部が花園予選の準々決勝に臨んだが、浦和高校さんに10対15で惜敗した。春の大会が5点差負けだったので、今度こそはと選手達も思っていただろう。3年生で最もおそくまで引退せずにがんばっているメンバーを見ると、勝たせてあげたいと思っていた。
仮に勝っても次の深谷高校さんにはさすがに厳しい戦いになるだろうが、浦和さんには一矢報いたい。浦和に落ちて本校に来た子がけっこういるうちとしては、他のスポーツではたいがい負けないが、ラグビーでも一泡吹かせたいと思ってた。
先制点を奪ったものの、こちらの反則などもあって逆転され、後半には10点差つけられる。終盤にトライ一つ返して5点差。残り時間は少ないが押している。 でも、もうラストプレーかという場面。職員室でテレビを見ている教員たちも緊張していた。「川越東のキャプテンは実は浦和が第一志望で … 」って、そのタイミングでアナウンスするかな。
「その情報いま要る?」「彼はな、骨折も乗り越えて、何十㎏も体重増やして、勉強も部活も両立してがんばってるんだよ」「わるかったね、第二志望で」
なんて思いがうかんできて微妙な気分になった。
そういえばクドカンの「ごめんね青春」第3回で、堀越高校のなまえが、お勉強できない学校とうけとられる文脈で用いられて、テレビ局が謝罪することになったという。
騒ぐほどのことではないと思うのだが。天下の浦和高校さんに比べたら、ほとんどの学校はお勉強できない学校だ。軽い自虐ネタぐらい、笑ってスルーできないと、ほんとに頭わるい人に見えてしまう。
学校的勉強の出来不出来でしか人間をはかれない人は、かえってこういうことに敏感になってしまうものだ。
第一志望に落ちて本校に来た生徒たちは、その時の気持ちをどれくらい引っ張っているのだろう。いま持っている三年生たちを見るかぎり、そんなことを気にする暇さえ無く、がんばっているように見える。
思えば、自分も公立の採用試験に落ちた後に、拾っていただいたのだった。すぐに切り替えて働けていた自信はないが、今はここにきてよかったと思う。
高校入試も大学入試も一校しか受けずに合格した。教員採用試験にまで何となく受かってしまっていたら、どんなに不遜な人間になっていたことだろう。落ちておいてほんとによかった。
テレビ埼玉への違和感や自分の屈託とは別に、ノーサイドのあとの両校の選手達のようすは、実にさわやかな高校生達の姿だった。やり切った3年生たちを誇りに思う。