水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

シャンティデイズ

2014年11月11日 | 演奏会・映画など

 主演の道端ジェシカさんは、福井県の出身。これだけきれいだと、福井ではういてたんじゃないかな。地元時代もモデル的な仕事をしてたと聞いたことはあるけど。
 もちろんこの作品でもきれいだった。
 トップモデルとして活躍し、ヨガのインストラクターとしても一流で、彼女そのものをブランドにする企画が進んでいる … というぐらいのカリスマ的存在であるKUMI役を、ジェシカさんが演じる。
 モデルの仕事ぶりは、日常の姿そのままだろうし、芸能界でちやほやされる、そのされ方も身を以て体験しているはずだから、リアルに演じられる。
 飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍できてても、その勢いが失われると、ちやほやしてもらえる度合いが変わり、ちやほやの質が変わり、周囲が自分に求めていることが何かを的確につかまないと、気づいた時には周りから人が減り、自分のオーラ自体も薄れていく … 。
 そういう現実も、きっと彼女はよくわかっているにちがいない。
 モデルの役を本当のモデルさんに演じてもらうことによって、内面の苦悩、葛藤、いろんな思いが見えやすい。
 こんな時はがんばって笑顔! とか、CMのクライアントさんには最高に気を使おう! とか、あえて頑張って笑顔を浮かべている姿に見えてくる。
 サブテキストを観客側が勝手に用意するのだ。
 ジェシカさんは、たぶん役者さんとしての訓練を、本職の方ほどは受けていない。
 一歩間違えば、セリフがただの音声になってしまう危険もある。観ている側が、現実の彼女を重ねさせることによって、自然に感情移入することを可能にするという、クレバーな作戦によるキャスティングは、功を奏していた。

 それにしてもモデル出身の女優さんが、たくさん活躍されている。
 桐谷美玲ちゃんはすっかり女優さんだし、波留さんは最初からお芝居が上手だった。最近知った高橋メアリージュンさんの存在感もすごい。佐々木希ちゃんも、作品によってはずいぶん女優さんぽい。
 純粋にお芝居が上手な方は、ちょっとした芝居小屋に行けば、たくさんいる。
 え? こんな上手な方が100人もいない前で演じているのか、と思うことはある。
 もちろん、きれいな方もたくさんいる。
 モデルさんというのは、純粋に物理的な造作上で恵まれているというより、「花」があるということなのだろう。
 もってうまれた「花」、今風にいうとオーラとかアウラとしか言いようのないものは、存在すると思う。
 努力や経験で身に備わってくる「花」もある。
 元々持っている「花」によってモデルとして発見され、その活動を通してさらに大輪の花となり、たとえお芝居力に若干の難はあっても、周囲の本職さんに支えてもらいながら女優さんとしての力を発揮し、そんな仕事を積み重ねていくうちに、いつしか一流の女優さんになっていく、たとえば米倉涼子さんのように … 、みたいな経歴をたどっていくと、事務所的には万々歳だ。

 花のなさを演じさせたら、もうひとりの主役、門脇麦ちゃんのそれは絶品だ。
 青森で一生終えるのはヤだ、と一念発起してお金をためて上京し、KUMIと出会い、居候することになる田舎娘の海空(みく)を演じている。
 彼女が初主演した「愛の渦」はR18指定だったので、自分みたくうぶな男子が観に行っていいのかなと躊躇してるうちに終わってしまった。
 少し前に見た「闇金ウシジマくん」では実にいいお芝居をしてた。
 この作品も、期待をはるかに上回るお仕事ぶりだ。
 田舎から出てきた娘が、地域共同体でのコミュニケーションを、そのまま都会で出会った人たちに適用しようとする。
 都会人にとっては、プチうざい。しかし、海空の対人距離感覚は、自分の中でどこか懐かしさもおぼえるのだ。
 こんな風に人とずけずけ関わっていけたらいいのにという思い。
 モデル、ヨガインストラクターと、人との関わりを精妙に築き上げてきたKUMIにとって、海空は、気になってしょうがない存在になっていく。
 「人なつこさ」という距離感で都会になじんでいく方法を身につけた海空は、どんどん垢抜けていく。
 おそらく門脇さんは、綿密な役作りを課すタイプで、このシーンではこんな衣裳で、こんな笑顔で … て、きっちりと計算して演じているのではないだろうか。
 それでいて、その計算を感じさせない自然なお芝居力は、昔の大竹しのぶさんを観ているようなスケールを感じさせる(なんか、女優評論になってきた … )。
 これから一気にトップ女優さんにかけあがっていきそうな気配がばりばり漂っていた。

 KUMIと海空とがヨガを通して出会い、紆余曲折を経て大切なものに気づいていくストーリー自体にひねったところはないし、血湧き肉躍るシーンも、はらはらドキドキもない。
 しかし、見終わったあと、やさしい気持ちになれる。
 一日一日大事にしたいなと思えてくる。
 最後のシーンが終わったあとの5分のヨガタイムも、ごく自然に一緒に呼吸していた。
 仕事でちょっとヤなことがあったとか、家族と雰囲気が悪くなったとか、息子さんとけんかしたとか、お弁当作りや洗濯が面倒くさくなったとか、しわとシミが気になるとか、だんなさんの実家と溝ができたとか、なんかちょっと後ろ向き要素がある方には第一にお薦めしたい。即効性を保証します。

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センター前ヒット

2014年11月11日 | 学年だよりなど

  学年だより「センター前ヒット」

 笠見未央『センター前ヒット センター試験でこけない68の法則』を、私費で私費で11冊購入した。各クラスにおいておくので、ぜひ手にとってみてほしい。
 自分の希望は私大の一般受験一本のみ、センターは受けるだけ、という気持ちの人もいると思う。
 しかし、受験生としての力を測るのに、センター以上に精度の高い試験は、今の日本にはない。
 志望大学の問題で合格点をとることが最優先目標であることはまちがいないが、それとセンターの勉強とは矛盾しない。センターの問題が難しくて解けないレベルでは、みんなが行きたい私大の問題には対応できないのだ。
 基礎をしっかり固めた結果、センターでそれなりの点数をとることができ、運良くセンター合格を一つでもゲットできたなら、そのあとは精神的に優位に立てる。
 残された時間は多くはない。集中しなければと思いながら、「焦り」がわいてくると、ますます集中できなくなる。そんな受験生に手にとってほしいとの思いで書かれたのがこの本だ。


 ~ センター前は誰もが悩みを抱えている。英語の第6問が読めない、国語の点数の波が激しい、理科や社会の暗記が苦しい、数学の勉強が憂鬱、机に向かってもエンジンがかからない、友人の成績が伸びて取り残される、やっている勉強が正しいのか確信できない、模試が伸びないなど、試験前はメンタルが痛めつけられる。理想は「濃い」勉強をしたいのに、現実には勉強に100%集中できない。
 そんな、センター直前の受験生の、「しっくりいかない感じ」を、勉強面・精神面の両方から解決する目的で書いたのが、本書『センター前ヒット』である。本書は現場で得た血と涙の通った実践例しか書いていない。現場が生んだ方法論で「濃い」勉強が可能になるだろう。 ~


 笠見先生のブログ「猫ギターの教育論」の記事からも感じられるが、先生は、自分の塾の生徒、つまり目の前の生徒の成績をあげるにはどうするかだけを、寝食惜しんで考え、方法を編み出し、そして法則化している。現場の実践例に裏打ちされた事例がこの本にはつまっているし、きれいごとや絵空事は一切無い。すべて、本音で書かれている。


 ~ 参謀の初仕事として、英語で伸び悩んでいる受験生に一つだけ具体的な策を述べよう。
 たとえば、センター英語で130点前後をうろうろし、点数が上がらない受験生の大半は、完全に英単語不足だ。駿台『システム英単語』の第1章・第2章・第5章の”MINIMAL PHRASES”を英語から日本語に直す猛暗記を3日以内にやれば、長文読解力は大幅に上がる。
 英語長文をスイカにたとえると、未知の単語は種子である。単語量不足で英文を読めば、英文は種子だらけの真っ黒なスイカみたいで食べにくい。だが、短期間に英単語を暗記すれば、種無しスイカのように食べやすくなり、楽に大量の英文を読みこなせる。英語だけでなく「超短期暗記」は爆発的効果をもたらし、スムースに「濃い」勉強ができる弾みになる。 (笠見未央『センター前ヒット センター試験でこけない68の法則』高陵社書店) ~

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