原作のマンガを読んだのはずいぶん前になる。さそうあきらと言えば「こどものこども」「神童」「おれたちに明日はないっす」などなど、数々の名作が思い浮かぶが、中でも「マエストロ」は、ほんとに完成度が高いと感じた記憶がある。新作を読みたいなあ。
映画になると聞き、さらにファゴットのレッスンにきていただいている先生(本校OB)から、「出てるんですよ」ときき、「うそっ、まじで? miwaかわいかった?」「そうですね、でもあんまり接点なかったですけど」「もったいないなあ。プロの演奏家が何人も入ってるんだ」「セリフはないですけど、けっこういました」などと会話してたので、一刻も早く観たかったけど、やっと叶った。
ストーリーは、経営上の問題で解散を余儀なくされたオーケストラの団員たちが、謎の指揮者によって集められ、演奏会を開くというお話だ。
ぼろい練習場にメンバーが集まってくる。
「指揮者の天童って誰?」「知らないよ」「ま、おれたちは自分たちの音楽をすればいいのさ」「指揮者なんておかざりだから」なんていう、いかにも風な会話からはじまり、紆余曲折を経て(ざつ!)演奏会当日を迎える。
人間的には打ち解けないものの、西田敏行扮する天童という指揮者の実力が並々ならぬものであることは、プロの団員たちにはわかってくる。
演奏会初日を満員で迎え、二日目。なぜか観客席には誰もいない。
ここではじめて天童がオーケストラを再結成した事情があきらかにされていく。
驚いたのは、松坂桃李くんもmiwaさんも、演奏シーンが実に上手だったことだ。
なかなかあれだけヴィブラートかけられない。嶋田久作さんも途中からほんとにホルン吹きらしく見えてきた。
オーボエの方がイケメン設定だったけど、自分の知っている範囲では意外にオーボエ奏者ってイケメンさん少ないので、ここは少し違和感。オーボエ奏者に声かけられて出来てしまったヴィオラの女優さんは、年末に小さな劇場で観た「劇団ろりえ」の方で、いい女優さんだなと思ってのでうれしかった。
中村倫也さんのティンパニがやたら上手だと思ってたら、エンドロールで、レッスンに来ていただいてる東先生の指導とクレジットが入る。いろんな意味で親しみを感じる作品で、もちろんファゴットの宮永氏も、がっつりその巨体が映っている。
登場人物たちのキャラが立ちすぎていて、原作の雰囲気を忘れるくらい楽しかった。
それにしても、いい音で、おっきな音で聞く「未完成」や「運命」は、なんといいものだろう。
これだけの構築物がすでにあるジャンルというのは、後に続こうとする方々は大変だ。