入試の準備が終わると、生徒は校内にいられなくなる。運動部は練習できても、うちは難しい。こんなとき、公民館やホールを借りて練習するような学校さんもあるが、こういう時はむしろ純粋な練習から離れて、ちがった形で自分の内面を高めるのもいいのではないか。そう思って入試期間は休みにしている、ていうか休みください。
ということで、授業と準備をおえて新宿へ。新宿武蔵野館の予告編で「東京ウインドオーケストラ」というクレジットを見て、え? と思った。佼成のドキュメント映画? と思ったから。ちがったけど、楽しそうなので初日の上映にでかけた。
東京から有名な吹奏楽団を招こうとした屋久島の町役場職員が、「東京ウインドオーケストラ」というサイトを見つける。おお。これだこれだ、昔東京で演奏をきいて感動した楽団だと。
しかし、それはカルチャー教室で楽器を学ぶ人たちで構成されるアマチュアバンドだった。破格のオファーを受けた彼らは、いぶかしみながらもいい旅行になると、「一応」楽器をもって屋久島に向かう。
島に着くと、まず地元の中学校で一緒に演奏しながらレッスンをお願いしますと言われ、連れていかれる。自分達よりも上手かもしれない中学生に対して、さてどう接しようかというところから始まるコメディー作品。
もっと早くお互い気づくだろ! とつっこめるところはもちろんあるが、「東京ウインドオーケストラ」て書いてあったら、あ、佼成さんと俺だって思ってしまう。
この出来事で、誰かが成長するとか、大事件が解決するとかのカタルシスは用意されてないが、ほのぼのとした小品だった。上映前に舞台挨拶があった。見終わって出ると、扉をあけたところに再び挨拶をされキャストの方が並んで頭を下げている。なんて律儀な。はじめての経験だった。