水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「目に見える制度と見えない制度」(中村雄二郎)1 一段落

2020年12月03日 | 学年だよりなど
一段落(1・2) テーマの提示

1 健康な人間が普通とくにその体を意識しないように、法律や制度も私たちの社会生活が順調に行われているときには、私たちはほとんど〈 それら 〉を意識しない。法律や制度を私たちがそれとして強く意識するのは、たとえば自動車を運転していて交通法規に違反したり、不動産の売買がこじれていやおうなしに法律的に問題を解決しなければならなくなったりしたときである。ふだんはいわば透明で気にならなかった法律や制度が、〈 そういうとき 〉になると不透明な抵抗物となって私たちの前に現れてくる。知らないでは済まないもの、社会的な、さらには物理的な拘束力を持ったものとして現れてくる。そのように法律や制度が透明で気にならないものから独自の存在性を持った抵抗物へ、そしてさらに社会的・物理的な拘束力を持ったものへとなっていくその変化がよく見られるのは、たとえば交通違反をして警官に捕まったときである。

2 そのようなとき、もとは些細な信号や標識の無視であっても、交通法規の全体系に、さらには法秩序の全体に私たちは対立するわけである。こんなことを言うと大げさに聞こえるかもしれない。しかし仕組みそのものは、もっと過激な国法の侵犯の場合と変わりないのである。とにかく、気にならないいわば透明なものから無視しがたい不透明な抵抗物へ、さらに社会的・物理的な拘束力を持ったものへ、というこの変化は、社会規範や制度の中でも最も明確な法規が私たちの日常の行動とどのようにかかわっているかを示していると言えるだろう。しかし、それにしても、法律や制度は私たち人間に対して、なぜこのような〈 さまざまの姿 〉を示し得るのであろうか。それは、法律や制度の固有の存在のしかた、自然にある物や物質的な製作物とは違った存在のしかたによるのである。この点について少し詳しく見てみよう。


Q1「それら」とは何か。5字で抜き出せ。
A1 法律や制度

Q2「そういうとき」とはどういう時か、該当箇所を抜き出せ。
A2 自動車を運転していて交通法規に違反したり、不動産の売買がこじれていやおうなしに法律的に問題を解決しなければならなくなったりしたとき

Q3「さまざまの姿」を具体的に述べている部分を三つ抜き出せ。
A3 透明なもの 
   無視しがたい不透明な抵抗物
   社会的・物理的な拘束力を持ったもの


 体 無意識
     ↓ 病気
   意識

 法律・制度
   透明
    ↓ 問題
   抵抗物

法律や制度
 気にならない透明なもの
    ↓  
 無視しがたい不透明な抵抗物
    ↓ (具)交通違反
 社会的・物理的な拘束力を持ったもの   ↓
法秩序の全体に対立
    ∥
 固有の存在の仕方
   ↑
   ↓
 自然にある物や物質的な製作物
コメント
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