水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

野良犬の値段

2020年12月29日 | おすすめの本・CD

~ 突如としてネット上に現れた、謎の「誘拐サイト」。
  <私たちが誘拐したのは以下の人物です>
  という文言とともにサイトで公開されたのは、6人のみすぼらしい男たちの名前と顔写真だった。
  果たしてこれは事件なのかイタズラなのか。
  そして写真の男たちは何者なのか。
  半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に、誘拐サイトは“驚くべき相手”に身代金を要求する――。
  日本全体を巻き込む、かつてない「劇場型犯罪」が幕を開ける! ~

 と、いう本。
 上記の“驚くべき相手”は、書いてもネタバレと非難されはしないだろう。
 犯人たちが、莫大な身代金を要求した相手は、新聞社とテレビ局だ。
 人権の大切さをかかげ、人の命は平等と常日頃説くマスコミに対して、浮浪者の命にいくら出せるのかと犯人たちは迫る。
 本当にそんな事件が起きたとき、現代社会は、どう反応するだろう。
 描かれていくマスコミの世界、ネット民の動向、警察組織、政界の様子は、なるほど、まさにそうなるにちがいないと納得させられる。
 犯罪はフィクションだが、想定される事態はまるでノンフィクションだ。
 日常的に「世間」に喧嘩売ったり、偽善をあばいたり、バカとやりあったりしてきた百田さんだからこそ書けた作品だと言えるだろう。ふつうの小説家さんなら改めて取材しないといけない関係各所の生態、実態やものの考え方は、自然に頭に入っているのだ。
 すぐれたエンタメ作品は、現代社会の問題を解決はしないが、するどくあぶり出す力をもっている。
 これは令和の『レディ・ジョーカ―』級の作品だと感じながら、今年一番、読み終えるのがもったいなかった本だ。

 犯人グループの一人に、裏将棋をシノギをしてきた男がいる。
 「心理戦」担当だ。マスコミや警察とのかけひきに、絶妙の力を発揮する。
 その男が、これは将棋の戦いとは違うと語るシーンが印象に残っている。
 将棋のように目の前に盤面がさらされ、相手の手持ちの駒もわかっている戦いでは、戦術にたけていて、相手の出方を読み切れば基本的に負けない。負けた場合には、その原因もはっきりする。
 麻雀は相手の牌は見えない。ひょっとしたら対面と上家とはつるんでいるかもしれない。
 自分の予想がまるっきりちがっているかもしれない。
 手にした情報をもとに判断するしかないが、100%はありえない。
 振り込む確率50%の牌をきるしかないこともある。
 人生は、まちがいなく、将棋ではなく麻雀だと思った。

 年末年始にぜひどうぞ!
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漢文最終チェック①

2020年12月29日 | 国語のお勉強(漢文)
漢文最終チェック① 副詞 〈 S・副・V・O 〉

 ☆ 読み方そのものが問われる。文のニュアンスを把握できる
  → 読めるかどうかチェックし、読めなかったものは抜き出して覚えておこう

 勝「あゲテ」… のこらず  
 相「あひ」… お互い・相手に
 敢「あヘテ」… あえて
 遍「あまねク」… すみずみまで
 徒「いたづらニ」… 無駄に
 愈・弥「いよいよ」… ますます
 自「おのづかラ」… 自然と
 徐「おもむろニ」… ゆっくりと
 且「かツ」… その上に
 嘗・曾「かつテ」… 以前・これまで
 尽・悉「ことごとク」… 全部・みな
 故「ことさらニ」… わざわざ
 殊「ことニ」… 特に
 交「こもごも」… かわるがわる
 向「さきニ」… 以前に
 頻「しきりニ」… しばしば
 数「しばしば」… たびたび
 暫「しばらク」… しばらく
 姑「しばらク」… さしあたり
 且「しばらク」… 一時的に
 頗「すこぶル」… かなり
 已・既「すでニ」… すでに
 都「すべテ」… すべて
 抑「そもそも」… そもそも・さて
 絶「たエテ」… 決して
 唯・惟・但・特・直「たダ~ノミ」… ただ~だけ
 立「たチドコロニ」… ただちに
 忽「たちまチ」… ふと・突然
 偶・適・会「たまたま」… 偶然・思いがけず
 毎「つねニ」… いつも
 遂「つひニ」… そのまま・そこで
 終・卒・畢・竟「つひニ」… 結局・とうとう
 具「つぶさニ」… くわしく
 審・詳「つまびらかニ」… くわしく
 与・倶「ともニ」… 一緒に
 俄・遽「にはかニ」… 急に・突然
 果「はたシテ」… 案の定・予想どおり
 甚・太「はなはダ」… 非常に
 私・窃・間・密「ひそかニ」… こっそり
 独「ひとリ~ノミ」… ただ~だけ
 殆「ほとんド」… ほとんど・たぶん
 幾「ほとんド」… もう少しで
 略「ほぼ」… だいたい
 方・適「まさニ」… ちょうど
 先「まず」… 最初に・さしあたり
 益「ますます」… ますます
 ~亦「~モまた」… ~も同様に
 復「また」… 再び
 又「また」… その上さらに
 看「みすみす」… 見る間に自分で
 自・親「みづかラ」… 自分で
 寧「むしロ~トモ」… どちらかといえば・~ても
 尤「もつとモ」… とりわけ
 固「もとヨリ」… 言うまでもなく
 素「もとヨリ」… 日頃から・もともと
 故「もとヨリ」… 以前から
 漸「やうやク」… やっとのことで
 良「やや」… かなり
 稍「やや」… いくらか
 僅「わづカニ」… やっと・かろうじて・すこし

【謙譲の意を表す副詞】
 敢「あヘテ」… おそれながら
 幸「さひわひニ」… おかげさまで
 謹「つつしミテ」 … つつしんで
 窃「ひそかニ」… おそれながら・私といたしましては
 伏「ふシテ」… つつしんで

【論の展開を示す語】
 今「いま」… もしいま・さていま(仮説提示・転換)
 凡「およソ」… おしなべて・そもそも(一般化)
 蓋「けだシ」… 思うに(直後に筆者の推論)
 此「これ」 … これこそ・このことは(主語確認・主たる話題の再提示)
 夫「そレ」… そもそも(直後に筆者の主張)

【疑問・反語】
 豈V「あニ~ンヤ」… どうしてVすようか、いやVしない
 焉V・悪V・烏V・安V「いづくンゾVセンヤ」… どうしてVしようか、いや決してVしない・Vできない
 何・奚・胡「なんゾ」… どうして
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