水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

あたりまえ力

2020年12月17日 | 学年だよりなど
3学年だより「あたりまえ力」


 ふだん大宮バスの人が、共通テスト当日、初めて東上線に乗るとする。
 JRで川越に行く、はじめての乗り換え、高坂ってどっちのホーム? 下りだっけ?、え、次で急行に乗り換え? いくつ目で降りるんだっけ……。ふだんなら何でも無い行為だが、気づかないうちに脳内のエネルギーが消耗する。
 からだを動かすとドーパミンが分泌されてやる気の素になるものだが、それは会場に着いてからじわっと出すためにとっておきたい。
 「やる気」とか「気力」とか表現される脳内の働きは、量が決まっている。
 朝はフル充電状態で、午前中にピークに達すると、あとは減少の一途をたどり、起床後十数時間で消費される。朝から一日がんばって活動し続けると、夕方には「酩酊状態」になる。
 脳をムダに使い切らないように過ごせることも、「本番力」の一つだ。
 今、みなさんは、がんばらなくても普通に机に向かえる状態だ。
 過去の自分をふりかえってみると、どうだろう。机に向かって問題集とノートを広げること自体にストレスを感じていた頃もあったのではないだろうか。「よしやろう」とシャープペンを持ってみても、すぐにスマホやゲームに心が動いたり、ベッドに横になってしまったり。
 朝起きて準備ができれば、自然に学校に向かったり、机に向かったりできる。
 そのこと自体に「がんばる」とか「気合い」は要らなくなっている(はずだ)。
 勉強して自分が変わるとは、自分の「あたりまえ」が変化するということだ。
 分からないことがあれば分かろうとし、できないことがあればできるようになろうとし、目標があればそれに向かって具体的な行動をとり続ける。
 その過程においては「がんばる」ことも必要だが、その行動自体が日常になっていくので、結果として自分の「あたりまえ」レベルが上がっている。ムダに頑張る必要がなくなる。


~ モチベーションを上げるというのは、アクセルをふかすことです。
 これはエネルギーのムダづかいで、よくありません。
 暴走族のブォンブォンという騒音は、アクセルをふかす音です。
 運転がうまい人は、ムダなアクセルの踏み込みがありません。
 ヘタな人は、ムダなアクセルとムダなブレーキが多いです。
 そのため、クルマがガックンガックンとノッキングを起こします。
 モチベーションを上げなければならないようなことは、しなくていいのです。
   (中谷彰宏『頑張らない人は、うまくいく』Gakken)~


 超進学校の生徒はが「いやあ、全然勉強してないです。せいぜい7、8時間かな」と語る感覚。
 練習後にプロテインを摂り、栄養に気をつけた食事をし、試合が近づけば睡眠時間もシフトしていくといった作業も、運動部の人にとっては「普通」のことだろう。
 そんな感覚を知らない人は、「そんなに?」「そこまで……」と見えるかもしれないが、「あたりまえ」のレベルがちがうだけだ。
コメント
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