水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

孤独力

2021年01月23日 | 学年だよりなど
  3学年だより「孤独力」


 数年前の成人の日に、鴻上尚史氏(劇作家・演出家)が、「さいたま新聞」にこんな文章を寄稿されていた。
 20歳になったから大人になるのではない、現に何歳になっても大人になってない人はたくさんいる、大人になるには孤独を経験しなければならないと、鴻上氏は述べる。


~ 孤独には、「本物の孤独」と「偽物の孤独」とがあります。
 一週間、誰とも話さなかったから孤独なのではありません。
 誰とも話さなくても、メールをやりとりし、インターネットで会話していれば、それは孤独ではありません。
 孤独とは、「一人で自分と向き合う」ことです。例えば、あなたがすてきなアドバイスを受けたり、役に立つ本を読んだりしても、一人でかみしめる時間がなければ、それはあなたのものにはなりません。今聞いた役に立つ情報を、右から左に伝えるだけでは、あなたのものになっていないのです。
 二十歳を過ぎて出会う解決不可能な問題は、親に判断を任せない限り、自分で解決するしかありませんが、「偽物の孤独」しか経験してない人は、アドバイスしてくれる人を求めて、ウロウロさまようのです。
 ただ「本物の孤独」の時間を持った人だけが、うんうんとうなりながら問題に取り組むことができるのです。
 もし「本物の孤独」を経験したいと思ったら、あなたは、携帯電話の電源を切り、パソコンやテレビから離れて、あなただけの時間を持つ必要があります。その時間が長ければ長いほど、あなたは「本物の孤独」と出会い、自分自身と会話を始められるのです。
 「本物の孤独」はしんどいですが、あなたに暗闇を進んでいく勇気をくれます。終わりが明確でない暗闇を一歩一歩、歩く時、あなたは初めて大人になるのです。 (鴻上尚史「成人するあなたへ~本物の孤独と出会おう~」より) ~


 これからの私立本番、国立二次で力が発揮できるのか、そもそもどこかに合格するのか、春から新しい生活が過ごせるのだろうか、なにより健康に受験できるのか……。
 表面では、がんばろう、最後まで粘ろうと思いながらも、心のどこかで逃げ道を探そうとしてたり、ほんとうに今のやり方でいいのかと迷ってみたり。
 さまざまな不安を抱えてわれわれは暮らさざるを得ない。
 それは当然だ。目標に対する思いが真摯であればあるほど、不安はわいてくるものだから。
 しかし、それを乗り越えられるのは自分しかいない。
 自分の力でどうにもできないことは変えようがない。状況を変えうる方法は、自分自身が変わることだけだ。周りがどうあろうと、自分の世界に入り込み、粘りきってみようではないか。
 すべて自分のこととして引き受けるしかない受験は、みなさんを1ステージ上の人間に変えることだけは間違いない。
コメント
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