1学年だより「クリック」
「いつまでのんびりしてるの! やることいくらでもあるでしょ。この前、三者面談でも言われたわよね、甘い考えじゃだめだって、そのときハイって返事してたじゃない、ねえ聞いてるの?」
「進路のこと本気で考えた方がいいな。そもそも家でどれくらい勉強してる? 志望校のこと調べたりしたのか? 将来やりたい仕事とか、何学部行きたいとか……」
こんなお説教の途中で、ピッと早送りしてしまえたらいいなあと思ったことはないだろうか。
きらいな教科の授業中、きつい練習の最中に、「スキップできたらいいのに」とか。
アメリカ映画「もしも昨日を選べたら」(原題「Click」)は、そんなことができる万能リモコンを手に入れた男の物語だ。
建築士のアダム・ニューマン(アダム・サンドラー)は、美しい奥さんのドナ(ケイト・ベッキンセール)、幼い二人の子どもたちと、恵まれた家庭を築いていた。しかし、いかんせん仕事が忙しい。地位が上がるにつれて、家族と過ごす時間はどんどん少なくなっていく。
「あなた、こんどの日曜は大丈夫? 子どもたちと約束したわよね」
「しまった、ごめん、大事なプレゼンが入ってしまったんだ」
「あの子らに何て言えばいいのよ。あと、庭に作りかけたウッドハウス、いつまであのままなの? あと、週末お父さんたち来るっていってたからね、あと……」
「わかった、わかったから、ちょっと静かにしてくれ」
アダムがリモコンでテレビをつけようとすると、天井の扇風機が動きだす。「なんだよ!」。
別のリモコンをピッとする。テレビはつかない。「あなた、なんでガレージのシャッターあけるの!」「くそ、どのリモコンだ!」リビングのテーブルには、いろんな種類のが散乱していた。
イライラして家を飛び出す。車に乗ってホームセンターに向かう。
ちなみにアメリカのホームセンターは、日本のそれなど足元にも及ばないくら巨大だ。
「リモコンなんて、どこで買えるんだ? ここか」
「Beyond(その他)」と表示された奥まったスペースに入っていくと、研究者然とした不思議な感じの人が座っている。
「あの、リモコンがほしいんですが。一つでいろいろに使える万能タイプの……」
「ちょうどいいのがあるよ。試作品をタダであげよう、ただし返品不可だ」
「あなた、どこ行ってたの!」
「そんな顔するなって」とリモコンを押すと、奥さんがストップモーションになる。
「え?」 散歩に連れていけと吠える犬に向けてボリュームボタンにふれると、鳴き声がミュートされる。「え?、何これ」。
面倒だなと思いながら、犬を連れだしてリモコンを押すと、散歩を終えて家にもどっている。
いやだ、面倒くさいと思ったことは、このリモコンでスキップできるようなのだ。
こんな「万能リモコン」を手に入れたら、みなさんはどう使うだろう。
大学入試をスキップする? 気がついたら、志望校に受かっていた……みたいに。
「いつまでのんびりしてるの! やることいくらでもあるでしょ。この前、三者面談でも言われたわよね、甘い考えじゃだめだって、そのときハイって返事してたじゃない、ねえ聞いてるの?」
「進路のこと本気で考えた方がいいな。そもそも家でどれくらい勉強してる? 志望校のこと調べたりしたのか? 将来やりたい仕事とか、何学部行きたいとか……」
こんなお説教の途中で、ピッと早送りしてしまえたらいいなあと思ったことはないだろうか。
きらいな教科の授業中、きつい練習の最中に、「スキップできたらいいのに」とか。
アメリカ映画「もしも昨日を選べたら」(原題「Click」)は、そんなことができる万能リモコンを手に入れた男の物語だ。
建築士のアダム・ニューマン(アダム・サンドラー)は、美しい奥さんのドナ(ケイト・ベッキンセール)、幼い二人の子どもたちと、恵まれた家庭を築いていた。しかし、いかんせん仕事が忙しい。地位が上がるにつれて、家族と過ごす時間はどんどん少なくなっていく。
「あなた、こんどの日曜は大丈夫? 子どもたちと約束したわよね」
「しまった、ごめん、大事なプレゼンが入ってしまったんだ」
「あの子らに何て言えばいいのよ。あと、庭に作りかけたウッドハウス、いつまであのままなの? あと、週末お父さんたち来るっていってたからね、あと……」
「わかった、わかったから、ちょっと静かにしてくれ」
アダムがリモコンでテレビをつけようとすると、天井の扇風機が動きだす。「なんだよ!」。
別のリモコンをピッとする。テレビはつかない。「あなた、なんでガレージのシャッターあけるの!」「くそ、どのリモコンだ!」リビングのテーブルには、いろんな種類のが散乱していた。
イライラして家を飛び出す。車に乗ってホームセンターに向かう。
ちなみにアメリカのホームセンターは、日本のそれなど足元にも及ばないくら巨大だ。
「リモコンなんて、どこで買えるんだ? ここか」
「Beyond(その他)」と表示された奥まったスペースに入っていくと、研究者然とした不思議な感じの人が座っている。
「あの、リモコンがほしいんですが。一つでいろいろに使える万能タイプの……」
「ちょうどいいのがあるよ。試作品をタダであげよう、ただし返品不可だ」
「あなた、どこ行ってたの!」
「そんな顔するなって」とリモコンを押すと、奥さんがストップモーションになる。
「え?」 散歩に連れていけと吠える犬に向けてボリュームボタンにふれると、鳴き声がミュートされる。「え?、何これ」。
面倒だなと思いながら、犬を連れだしてリモコンを押すと、散歩を終えて家にもどっている。
いやだ、面倒くさいと思ったことは、このリモコンでスキップできるようなのだ。
こんな「万能リモコン」を手に入れたら、みなさんはどう使うだろう。
大学入試をスキップする? 気がついたら、志望校に受かっていた……みたいに。