水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

第29回定期演奏会

2022年03月25日 | 日々のあれこれ
川越東高等学校吹奏楽部 第29回定期演奏会

日時 3月25日(金) 17:30開場 18:00開演

会場 ウエスタ川越大ホール

交通 JR・東武東上線 川越駅西口より5分

曲目 ウィテカー「ゴースト・トレイン」
   バーンズ「交響曲第3番」
   酒井格「たなばた」    他

   たくさんのご来場
   ほんとうに、ほんとうに、ありがとうございました!!
コメント (3)
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演奏曲目

2022年03月25日 | 日々のあれこれ
第29回定期演奏会 演奏曲目

第一部
 コンサートマーチ「虹色の未来へ」 郷間幹男   作曲
 ゴースト・トレイン E.ウィテカー 作曲
 交響曲第3番           J.バーンズ  作曲

第二部
 「JPOPヒットメドレー」
    信長って誰だし?2022 僕らにはどんな時も帰れる場所がある
~ うっせぇわ・MELA・なないろ・アイノカタチ・群青・炎・君といれば ~

第三部
 カマラーダCamarada   高橋広樹 作曲
 ゲッタウェイGet Away  熱帯JAZZ楽団版
 セプテンバーSeptember  熱帯JAZZ楽団版
 たなばた        酒井格 作曲
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その日の信長

2022年03月25日 | 学年だよりなど
~ その日の信長 ~

 永禄3年(1560年)皐月(旧暦5月)十二日。
 信長は切羽詰まっていた。
 どうする? どう切り抜ければいいのか。
 相談する相手もいない。
 そもそも誰かに相談して「こと」を進めるキャラではない。
 意図的にそうしてきた。
 尾張の一弱小領主がのし上がるには、周りを気遣っているひまはなかった。
 織田の嫡男はうつけ者じゃ――。
 そんな噂が広まるくらいでちょうどよかった。
 さすれば、最初から相手はかまえてくる。
 そこであえて真っ当なことを言う、礼儀正しくしてみせる。
 一気に相手の気持ちを掴み、取り入ることができる。秘技「ギャップもゑ」と呼ぶ作法だ。
 信長は豪胆に見えて、繊細な策略家だった。
 いや、繊細すぎる内面をもったがゆえに、そう振る舞わざるを得なかったとも言える。
 傷つきやすい内面をさらけだして人の上に立っていられるほど、穏やかな時代ではない。

「あなたさまのお好きなように、なさればよかろう。今さら、そのようなことを申されても、 私には何も言えませぬ。」
「帰蝶、つれないことを申すな。美濃の援軍は頼めぬものか」
「何を今さら。最初に頭を下げていたならいざ知らず」
 この時代、信長の性格を唯一理解していたのは、後世に濃姫と呼ばれることになる、妻の帰蝶だけだったかもしれない。
 父斉藤道三のもとを初めて訪れた青年の横顔を、帰蝶は今も時々思いだす。
 さびしそうな目をしていた。
 そしてどこか遠くを見つめている。
 この人が見つめる先に何があるのか、私もいっしょに見てみたい――。
 ふいにそんな気持ちになった自分が不思議だった。
 思いのほか早く、それは叶えられるのかもしれない。
 この人はきっと自分で道を切り開く。
 追い込まれれば追い込まれるほど本領を発揮することを、帰蝶は知っていた。
 「出かけてくる」と言い残して、夫は馬にまたがる。
 ご武運を……。
 帰蝶は心の中でつぶやいた。

 よい風が吹いておる。
 信長は考え事をするとき、いつもこの丘に登る。
 この高台から、広大で肥沃な濃尾平野を見渡す時、いつも湧き起こってくる気持ちを抑えることができなかった。
 もっと広い世界を見たい、自分には必ずそれができる、という思いだった。

 遠(とお)江(とうみ)の大(おお)大名今川義元にとって、わが軍など取るに足りないものであろう。
 自分の上洛を邪魔する者がいれば、蹴散らしていくまでと考えているはずだ。
 戦わずに降参せよと言う声もあるのは知っている。
 しかし、自ら奴隷への道を選ぶくらいならば、わしは栄光ある戦いにうってでる。

 そもそも人は必ず死ぬ。
 戦いがなくても、病で明日死ぬこともあるのだ。
 いまこの瞬間にわしの心の臓がとまることもある。
 実際、そんな人を幾度も見て見てきたではないか。
 限りある命ならば、できるだけ有効に使いたい。
 必ず死ぬからこそ、価値ある死を選びたい。
 それが、まがりなりにも武士として、領主の家に生まれた者の務めだ。
 ええい、しかし……。

「親方さまぁ!」
 遠くから自分をよぶ声が聞こえる。
「ここじゃ~!(やべ見つかった)」
「親方さまぁ、何をしておられるのですか」
「ここから、今川の大軍が見えるのじゃ(見えねぇよ)」
「みんな、待っておりまする!」
「わかっておる、すぐ行く(はぁ、行きたくねぇ……)」
 決断が迫られている。
 また一陣の風が吹いた。
 う、なんだ、この頭の痛みは……。
「親方さまぁ!」
 わかったから、もう呼ぶなって。
 あ~あ、どこか行っちゃいたいなぁ……。
 いかんいかん、そんなことを思うては。
 うう、どうした、からだが浮いていくようなこの感覚はなんじゃ……。
 
 信長は、突風に包み込まれたように感じた。
 一瞬、すべての光を失った。
 冷たい炎(ほむら)の中を、肉体が通り抜けていく。
 何者じゃ、わしを運ぶのは。
 どこへ連れて行こうとするのか。
 ほんの一時だったかもしれない、しかし同時に数百年だったかもしれない。
 わが肉体を包むものは風ではない。
 自分を包んでいるのは時の流れだった。
 ふいに「包むもの」から開放される。新しい日差しに目を細める。
 うっ。イタっ。
 誰じゃ、わしにぶつかったのは。
 おなごか。
 まさか、帰蝶……。
 ちがう、帰蝶ではないな。
 面妖な衣服を身にまとっている。南蛮のおなごか。
 わしを見て、怯えておるのか。
 何? 信長に似ているじゃと。
 似ているのではない、信長じゃ。
 なぜ、その書物にわしの絵が載っておる。おまえは誰じゃ。
 ただのジェイケイ? 意味がわからん。
 ここは、一体どこなのじゃ……。
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