学年だより「負けん気」
~ センター試験では、100%の力を出し切ることが大事だと言われる。だが、勝負ごとでは「本番に強い」化け物がいる。プレッシャーを餌にして、ここ一番で120%の力を出せる人間だ。
たとえば、柔道の「ヤワラちゃん」谷亮子や、レスリングの吉田沙保里は、勝負のときは明らかに別人になっている。人格豹変し、何かに対し怒っているように見える。
怒りの感情こそが、本番に強くなる原動力だ。先生から「お前の力じゃ志望校は無理だ」と言われたとか、友達から、「お前が○○大? 無理だね。アハハ」と笑われたとか、屈辱をバネにした「倍返し」の復讐心こそ、試験で効果を発揮する。
「ミスしたらどうしよう」と心配になるのは、センターという化け物に防御姿勢で脅えているからだ。防御の姿勢はメンタルが破壊される。攻撃側に転じなければ火事場の馬鹿力は出ない。 (笠見未央『センター前ヒット センター試験でこけない68の法則』高陵社書店) ~
余裕をもって本番の試験に臨める生徒は、いまの三年生にはいない。
みなさん自身が一番わかっていることと思う。
同じ余裕がない状態でも、「やってやるぞ!」と向かっていくのと、「だめかもしれない … 」と弱気で臨むのとでは、結果は相当変わるだろう。
問題文一つ読み取るにしてもそうだ。
現代文の評論では、ときに相当難しい文章が出題される。「なんか全然頭に入ってこない … 」と弱気になると、まったく読めなくなる。
「難しい言葉使ってんじゃねえよっ!」と著者を一喝する気分で、むしろ上から目線で読むくらいの方がいい。ここだけの話だが、言葉が難しい評論ほど中身はたいしたことがないものだ。
笠見先生は、本番前には、塾生たちをあえて嫌らしく挑発するという。
「君たちは、しょせん田舎者だ(注:塾は岡山県にある)。都会の難関校の生徒にはかなわないよ、ものがちがうんだから」と。
それでしゅんとする生徒もいるが、結果を出す生徒はそこで「なにくそ」と闘志を燃やす。
~ センター直前に必要なのは、怒りの感情である。俺が成功しないで誰が成功するのかという、強烈なプライドである。試験前のプレッシャーを内部に向ければ重圧になるが、外に解き放てばエネルギーになる。
勉強ってね、やっぱり負けん気が強い人間が勝つんだな。他人と比べられたら、屈辱で「ザラリ」とした不快なものが腹に宿る。怒りの感情は不安のウィルスを寄せつけない。試験前の不安など、怒気で抹殺せよ。
最後に、不安解消の決定的手段を述べる。それは塾でカンヅメになり勉強することだ。家で勉強すると一人悩むし、誘惑も多い。その点塾なら余計なことを考えずに済む。肉体的疲労はあるが、精神的疲労は少ない。悩みが入り込む隙がなく、勉強に集中できる。 ~
みんな、何かしら「なにくそ」とか「みてろよ」とか、あるんじゃないか。