学年だより「最後まで」
奥村幸治氏は、オリックス・バッファローズ時代、イチロー選手の専属打撃投手を勤めた。
その後、トレーナーとして活躍し、現在指導にあたっている少年野球チーム「宝塚ボーイズ」は全国大会の常連チームとなった。ヤンキースの田中将大投手を、捕手から投手へと導いたのも奥村氏だ。奥村氏の指導の原点は、イチロー選手との出会いであり、ともに野球談義をし、努力の仕方を間近で見てきた経験だという。
~ 一流の選手を目指す上で、素質があることにこしたことはないが、それがすべてではない。おそらくイチロー選手には生まれながらの素質があったのだろうが、それ以上に彼にはいま自分にとって何が一番必要なのかということを追い求める探求心と、負けたくない、少しでも上を目指したいという強い気持ちがあった。
同時に、成功していく人というのは、多くの失敗を経験している人だともいえる。イチロー選手は日米通算四千本安打を達成した時の記者会見で次のように話している。
「四千本のヒットを打つために八千回以上は悔しい思いをしてきている。その苦しみと自分なり に向き合ってきた。誇れるとしたらそこじゃないかと思います」と。
どれだけ失敗しようとも、その苦しみを乗り越えるたびに人の心は強くなっていく。そしてその積み重ねが、より高い壁を乗り越えていく力になっていくのだろう。 (奥村幸治「イチローに学んだこと」月刊致知3月号) ~
「少しでも上を目指そうという気持ち」と「多くの失敗経験」。
何事かをなしとげようとするなら、どちらも欠けてはいけないものではないだろうか。
「失敗したくない」「かっこ悪い思いをしたくない」というためらいは、人を成長から遠ざける。
自分がこうしたいと決めてやりはじめたことは、思うように物事が進んでいかなくても、チャレンジをやめてはいけないのだ。
「うまくいくかどうかわからない」とか「どうせ、だめだろう」とか、自分に言い訳するヒマがあったら、一分でも一秒でもやるべきことを積み重ねよう。
~ 灘校の生徒たちは本番に強い。本番に強いってことは気持ちが強いってことやけど、気持ちの強さを支えるのは、やっぱり「これだけやってきた」という自信なんや。本番に強い人がいるのではなく、練習をしっかりやってきた人にしかわからない強さを持った人がいるだけのことや。本番に強くなりたいのであれば、そう思えるぐらいまで万全に準備をするしかない。
そして、「こんなにやったんやから、あとはもう本番にぶつけるしかない」という意識が芽生えるようになれば、ほぼ100% に近い確率で合格するよ。 (木村達哉「キムタツブログ」) ~
結果をおそれることなく、まずやれるだけやってみようではないか。