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新参者 東野圭吾

本書は、ある殺人事件に関する長編推理小説なのだが、それぞれの章の主人公が違い、しかもそれぞれの章に小さな謎があり、それを全体の主人公が1つづつ解決していって、それが最後に殺人事件の解明につながるという非常に面白い構成の小説だ。時間の進行にあわせて複数の場面が交互に描かれていくというよくあるパターンとは違い、それぞれの章の謎の解明自体が大変面白くできているし、それが最後に全体の謎解明に見事につながっていくというのは、全く新しい形態の小説のように感じられた。最後のページを見ると、驚いたことに、最初の章が書かれたのが2004年、最後の解決章がかかれたのが2009年となっている。最初の章が書かれた時、既に最後の章までの構想があったとしたらかなり驚くべきことだし、後から全体像ができあがったのだとすると、それはそれで、こうもうまくまとめられるものかと不思議な気がする。推理小説の出来映えもさることながら、どうしたらこんな芸当ができるのか想像もつかないというのが正直な感想だ。(「新参者」東野圭吾、講談社)
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