goo

浜村渚の計算ノート 3と1/2 青柳碧人

シリーズ初の長編で、活溌の文庫書き下ろしという本書。ただ本書は、本シリーズのメインテーマである主人公と悪の組織「黒い三角定規」との頭脳対決という内容には厳密にはなっていないということで、「4冊目」ではなく、「3と1/2冊目」ということになっている。この厳密さは、数学を扱う本シリーズらしく分数を使ってみたかったというだけなのか、作者のきちんとした性格がでているのか、何となく面白い。本書では、数学好きに助けられた双子の兄弟が出てくるが、彼らに明かされる思いもよらない真実が何ともおかしくて悲しい。ミステリーと数学パズルの融合を楽しむのが本シリーズの眼目で、作者もしきりに「ミステリー部分の謎ときを楽しんでほしい」という雰囲気をだしているのだが、私のように初めから謎ときを放棄して読んでも楽しめるのがこのシリーズのミソということになるだろう。(「浜村渚の計算ノート 3と1/2」 青柳碧人、講談社文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )