goo

論より譲歩 土屋賢二

読んでいてこんなに楽しい随筆は珍しい。「ツチヤ師」の出てくる作品、例えば「冥土の土産理論」などは、「ツァラトゥストラはかく語りき」を髣髴とさせる文体で、大笑いさせてくれるし、くだらないようでいて、著者の主張していることは何だかとても的を射ているようにも思える。気に入ったフレーズもそこかしこに満載だ。「不可解な笑い」の書き出しには特に感心した。どういう発想でこういう文章が書けるのか不思議な気がする。本書は文春文庫だが、裏表紙の裏をみると、文春文庫だけで著者の作品が10冊以上既刊されていることが判る。本書は、「恐妻家」と「売れない自著」という2つの自虐ネタが大半で、これでもかこれでもかとその話が出てくるが、他の本はどうなっているのか、是非他の本を読んでそれを確かめてみたくなった。(「論より譲歩」 土屋賢二、文春文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )