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チョコレートの世界史 武田尚子

普段口にしているチョコレートにこんなにすごい歴史があることを初めて知ってびっくりした。1杯のココア、1つのチョコレートが我々の口にはいるまでのドラマ。キーワードを挙げただけでも「大航海時代」「宗教戦争」『自由貿易」「産業革命」「市民革命」「フェアトレード」「大量生産」「マスメディア」等々、これらすべての世界史の動きが、ココア・チョコレートの生産に大きく関わっていたり、逆に影響されたりしてきたことが判る。ココアについて「薬か食べ物か」「飲み物か固形物か」という宗教論争の話や、ココアが労働者を蝕むアルコールに代わる飲み物として開発され、労働者の生活改善に寄与したという話は大変面白いし、「青いキットカット」ラベルに込められた思いなども胸を打つ話だ。ココアバターにカカオマスをブレンドして作るチョコレートが発明されてからまだ150年しかたっていないということにも驚かされた。チョコレートを食べることに奇跡を感じてしまうような後味の残る1冊だ。(「チョコレートの世界史」 武田尚子、中公新書)

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