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写楽 閉じた国の幻(上・下) 島田荘司

写楽とは何者かという歴史のミステリーについて、全く新しい解釈を提示した本書。本の帯にも作者のあとがきにも、「構想20年」ということがが書かれているが、その言葉に恥じない力作だ。読み終えて、どうしてこのような設定で書かれたのか判らない謎のようなものがいくつか残ってしまっていて気になるのだが、作者のあとがきを読んで納得した。要するに、その謎の答えを書くと分量が多くなりすぎてしまうからということだ。そうなると、当然、その書き残した部分を続編でということになるのだろうが、本書の場合、最も中心となる「写楽」の謎については書きつくされているので、そうした続編が成り立つかどうかが判らない。何か写楽の謎について新しい補強材料のようなものが出てきたときに続編がでるのかもしれない。そうしう不思議な気持ちで続編を待つことになってしまった。(「写楽 閉じた国の幻(上・下)」 島田荘司、新潮文庫)

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