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海賊と呼ばれた男(上・下) 百田尚樹

著者の「永遠のゼロ」に感銘を受けた後、著者の本は何冊か読んだが、「永遠のゼロ」に比べるといずれも期待はずれという印象だった。しかし、本書は「永遠の‥」と同じような路線で大変面白く読めた。著者は色々な面を持つ作家だということが判ってきたが、近代日本の人物を描いた作品が一番良いような気がする。但し、本書の場合、実在の人物がモデルになっている主人公が別の名前で書かれているなか、他の登場人物が実名で書かれていたり、同じく別名になっていたりで、そのあたりの使い分けが非常に不自然なのが気になった。色々書かれている出来事が、実際の話なのか創作なのかはっきりしないし、それがこの本の良さに繋がっているとも思えない。本名で書くと支障があるところが別名になっているということなのだろうが、実在の人物や実際の出来事であることを一種の売りにしているにも関わらず、そこのところをあいまいにするのはいただけない。しっかりした評伝を書くだけの検証をせずに楽をしているだけという感じがしてしまうのだ。面白い話と大きな欠点というのは「永遠のゼロ」と大変似ているような気がする。(「海賊と呼ばれた男(上・下)」 百田尚樹、講談社)

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