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聖書考古学 長谷川修一

何気なく手に取った本書だが、思わず頭の中で書かれている内容を年代順に整理してメモを取りながら読んでしまった。歴史の教科書で教わった「青銅器時代」「鉄器時代」という時代区分と、旧約聖書の記述の関係を、「聖書のこのあたりの記述は後期青銅器時代の話」であるとか、「聖書の中のこの人物が活躍したのは初期鉄器時代」というような形で示してくれていて、大変ためになった。そうした記述を整理しながらメモを取っていて、せっかくそのように「何時代」と「聖書の記述」を対比して説明してくれているのに、肝心のその時代が紀元前何年くらいかという絶対年代があまり書かれていないことに気がついた。それが書かれているともっと判り易かったのではないかと思うが、そうすると、あまりにも聖書の記述の矛盾が明確になってしまうので、自然と控えてしまったのかもしれないなどと思った。著者も述べているように、聖書の記述を考古学的に検証するという作業は、聖書の記述を「絶対的真実」と信じている人にとっては不快なことかも知れない。そうした人々にも配慮しながら、ここまで判り易く説明してくれている本書は、すごいと感じた。(「聖書考古学」 長谷川修一、中公新書)

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