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バイバイ、ブラックバード 伊坂幸太郎

最後まで解けない謎があっても、どんなご都合主義でも、どんなに荒唐無稽でも、面白い小説は良いと改めて感じる作品だ。主人公2人の掛け合い漫才と、その中で育まれていく2人の絶妙の距離感が、読後の爽やかさの秘密だ。これだけ面白ければ当然映画化という話もでるだろうが、主人公の1人の存在感があまりにも圧倒的で、その役を演じきることができる人間が果たしているのか心配だし、普通の俳優ならばこの原作を読めばその役を演じることに尻込みするだろう。それが映画化の大きなネックになるのではないか、あるいはへたに映画化して欲しくないとさえ思える。太宰治の「グッドバイ」をベースにしたオマージュ作品のようだが、そんなことは読者には関係ないという著者の強い信念を感じる。(「バイバイ、ブラックバード」 伊坂幸太郎、双葉文庫)

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