goo

スクラップ・アンド・ビルド 羽田圭介

今年の芥川賞作品。「電車の中で老人に席を譲ることは正しい行いなのか」という1つの疑問をもとに、一つの小説に仕上げたという感じの作品だ。先日のTVでも、作者自身がそのように言っていたので間違いないだろう。老人に席を譲って楽をさせることが、老人の死期を早める可能性もあるし、席を譲る行為のなかに自己満足や周囲の目という要素があることを完全には否定できない。小説自体にその答えとか結論のようなものはもちろん書かれていないが、同じようなことを感じている人がいることが判り、それだけで小説になるということも分って、その辺がなんとなくうれしくなった。(「スクラップ・アンド・ビルド」 羽田圭介、文藝春秋社)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )