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笹の舟で海を渡る 角田光代

久々に読み応えのある1冊だった。内容は、段階の世代の少し前の世代、終戦の時に小学生だった2人の女性の半生を描いた作品だが、2人の対照的な生き方を描く中で、人生の幸福とは何か、人生における選択の持つ意味など、数えきれないくらいの問いかけがあり、それが全て1つにつながっているという本当に見事な作品だ。「小説のすべてがそこにある」という帯のうたい文句が誇張でないことがよく判るし、各方面で絶賛されているのもうなずける。最後に主人公が下した小さな決断に心から拍手を送りながら、清々しい気持ちで読み終えた。(「笹の舟で海を渡る」 角田光代、毎日新聞社)

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