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漁港の肉子ちゃん 西加奈子

東北地方と思われる地方の漁港で、元気に子供を育てる主人公と、周りに色々気を使いながら成長していくその娘の話。2人がその漁港で暮らしているのには何か深いわけがありそうなのだが、それが明示されるのは終盤になってからだ。それまでは天真爛漫な母親の言動をハラハラしながら見守る娘の話に付き合ってその明るさを楽しんでいられるのだが、終盤になってある秘密が明かされると急に、その娘の言動の本当の意味が理解され、話は別の様相をみせる。メッセージは明確だし、読んでいて面白いし、最期に心も温まるし、読んでよかったなぁと心から思える1冊だ。あとがきで明らかにされる本作と東日本大震災の関係を示すエピソードも心に残る。(「漁港の肉子ちゃん」 西加奈子、幻冬舎文庫)

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