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下流老人 藤田孝典

高齢化社会の加速、非正規雇用の増大、他人に不寛容で切れやすい団塊世代の老人達、といったいくつもの社会問題を総合していくと「総下流社会」に行き着く恐れがあるということを、具体例をあげながら、説得力のある記述で解説してくれる1冊。最近NHKなどでこの手の内容の番組をよく見かける気がするが、内容がやや断片的で、そうした番組をみても、本書のようにそれが1つの流れに行き着くことを早期することはなかなか困難だろう。そうした点も含めて、順序立てて判りやすく解説してくれる本書の意義は大きいだろう。自分の子供や孫の世代のことを考えると、本当にぼんやり感覚的に物事を考えたり意見を言ったりしていてはいけないという気持ちになる。最後の方で、生活保護を「保険科」するというアイデアが示されているが、本当にこのくらいの荒療治をしないと社会の意識を変えることはできないのかもしれないと感じた。(「下流老人」 藤田孝典、朝日新書)

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