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損したくない日本人 高橋秀実

本署を読んでいると、当たり前だと思っていたことがそうでもないような気がしてくる。「損と得は反対語なのか?」「貧乏くさいとはどういうことなのか?」という素朴な疑問を解明しようとしていくうちに「幸せとは何なのか?」という根源的な疑問に突き当たる。「損と得」へのアプローチをいくつも重ねるうちに、それぞれの言葉の定義があいまいになっていく。そうしたさまが大変面白い。ノンフィクション作家だけあって、1つの疑問にぶつかると、それを解明すべく、すぐに識者やその道のオーソリティーに意見を聞きに行く。そのフットワークの軽さも本署の大きな魅力だ。読み終わって、何かの知識が明確に残るという感じではないが、何だか今まで以上にあくせくすることがバカらしくなってしまった。(「損したくない日本人」 高橋秀実、講談社新書)

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