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殺したい蕎麦屋 椎名誠

蕎麦屋に関する文句と言えば、名店と呼ばれる蕎麦屋さんの異常なまでの量の少なさだろう。本書を手に取ってまず書名になっている一文を読むと、案の定、名店と呼ばれる蕎麦屋の量の少なさに関する内容だった。著者のように何本あるか数えたことはないし、もちろん「殺意」を抱くほどの感情を持ってはいないが、苦々しく思っていたのは自分だけではない、この作者はやはり何かを代弁してくれるのだと感じた。「あとがき」を読むと、題名に関する話が書かれていた。「殺したい」というのはやはりどぎつすぎるので「コロしたい」と茶化す感じにしてはどうかという意見があったそうだが、作者自身の意見で「殺したい」のままになったとのこと。こうしたこだわりと覚悟が読者にはうれしい。内容は、車や旅に関するエッセイが雑多な感じで収録されている。週刊誌の連載が2本、月刊誌の連載が数本、その他スポット的な原稿の締切が数本で、毎月20本くらいの締切に追われる毎日とのこと。そうしたなかで本書のような多方面に話を書き続けるのは、とにかく大変だなぁという感じだ。(「殺したい蕎麦屋」 椎名誠、新潮文庫)

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