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秘密のミャンマー 椎名誠

2006年に刊行された本署。私が最初にミャンマーを訪れたのが2010年で、それから毎年訪れているが、その間の変化には目覚ましいものがある。本書が、そうした変化の前のミャンマーを知りたいという思いに、著者独特のひねりをきかせながらも色々答えてくれるだろうと期待して読んでみることにした。結論から言うと、著者独特のひねりは十分に楽しめたが、変化の前のミャンマーを知りたいという点についてはもともと無理な注文だったようだ。この本を読む限り、人々の生活や心は10年そこらでは何も変わらないし、それは政権が変わったり民主化が進んでも同じだという気がしてくる。十分な準備をして、複数のチームを組んでのミャンマー取材で見えるものは、やはり仕事の出張で2,3、日滞在し、仕事の空いたせいぜい1,2時間で垣間見ることのできるものとは大きく違う。それでも、本書を読みながら、大きくうなずくことばかりだったし、自分の感覚がそれほどずれてはいないことが判ったような気がして少しうれしかった。巻末のカラー写真のページは、さすがにプロの作品なのだろうが、目を見張る美しい写真ばかりで、本文同様に大変楽しめた。(「秘密のミャンマー」  椎名誠、小学館文庫)

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