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シルバーデモクラシー 寺島実郎

団塊の世代の代弁者として団塊の世代を内部から総括する著者の姿勢は、色々な意味で大変参考になるし、次世代への貴重なアドバイスとなるだろう。本書では、1980年、2008年、2015年以降の現在と、3つの時期に書かれた著者の論文を比較しながら読み進めることができるようになっているが、全ての時期に共通しているのは、団塊の世代を「私生活主義」「経済主義」という2つの特性を軸に考察し、その特性が時代の流れにどのように作用し社会を形成してきたかが語られていることだ。民主党政権や猪瀬・舛添都政の失敗は団塊世代の失敗であり、団塊世代はそれを反省も総括もできぬまま、日本は有権者の多くが高齢者の「シルバー・デモクラシー」の時代に突入していく。一貫して、団塊世代の代弁者として次世代に何を残すかという一心で書かれた文章と、このままで良いのかという警鐘が心を打つ。(「シルバーデモクラシー」 寺島実郎、岩波新書)

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