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リケジョ探偵の謎解きラボ 喜多喜久

本書の作者をウィキペディアで見ると、作品の大半は「科学」ミステリー。知名度もある作家だし、もっと幅広い内容で活躍していると思っていたので少し意外だった。一番の代表作のシリーズはずっと読んでいるが、それ以外の作品は本書が初めて。同じような内容と思えば安心して読めるが、あまり似すぎていても面白くない、などと贅沢なことを考えながら読み始めたが、そのあたりの按配はちょうど良い感じで楽しめた。主人公で語り手が「保険会社の下請け調査員」という設定なので、扱われる謎は「事故か自殺か他殺か」という点に絞られる。かなり限定された設定なので、いくつも話が続けられるのだろうかと心配だったが、案の定シリーズ化は想定されていないようだ。よく考えると、著者の作品のバラエティは、探偵役の科学者ではなく、ワトソン役の語り手に依拠している。そのあたりがちょうどよい按配の秘密なのかもしれない。(「リケジョ探偵の謎解きラボ」 喜多喜久、宝島社文庫)

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