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インサートコイン(ズ) 詠坂雄二

いつもの本屋さんで、作者の名前も作品名も知らず、どのような内容かも短編ミステリーだということぐらいしか確かめずに買ってしまった本書。装丁や他の作品の題名をみると、ライトノベルっぽい作家という感じだ。もしこれが面白ければまたライトノベル風の作品を何冊か楽しめる気がして、試しに読んでみることにした。内容は、ゲームに関する蘊蓄を絡めたミステリー仕立ての連作短編集といったところだが、その蘊蓄が面白い。自分自身は、ブロック崩しは得意だったがスペースインベーダーは全くやらなかったし、家庭用ゲーム機器を使うゲームはドラゴンクエスト以外はほとんどやったことがないという程度の人間だが、それでも本書で語られるスーパーマリオの動きに隠された謎、ぷよぷよの色に関する裏話などを読むと、ゲームという世界の奥深さにびっくりさせられる。ゲームセンターに置いてある格闘型のゲームがお客さん同士の対戦方式になっている理由などは言われてみればなるほどという感じだし、とにかく今まで知らなかったこと考えもしなかったことが盛りだくさんで、著者の別の本も読んでみたいと思わせてくれる一冊だった。(「インサートコイン(ズ)」 読坂雄二、光文社文庫)

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