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ヴィラ・マグノリアの殺人 若竹七海
著者の本は、見つけた時に買わないとなかなか入手ができないので、シリーズを順番通りに読むことが難しい。本書は、シリーズ作品の第1作目だが、入手の順番の関係で読むのが最後になってしまった。舞台は以前読んだ後続作品にもチラリと出ていた「ヴィラ・マグノリア」。この頃の著者の長編作品は、細かな描写が長く続く傾向にあり、どこが謎のポイントなのか、どこが解決の糸口なのか、読んでいて油断できないという特徴がある。大きな事件を追っていると、その近くで小さな事件が起こり、それが事件全体解決の糸口だったりする。そうした感じなので、読書の時間が細切れの時は、何となく著者の本に手を出したくないという気持ちが働く。著者の本は、肩肘張らずに読めるミステリーだということは判っていても、読む段階では結構気合を入れて読む必要がある。本書も時間が細切れの時に不向きな作品という意味では、これまでに読んだ中でもその筆頭というような作品だ。とにかく登場人物が多く、それぞれが一癖二癖ある人物ばかり。さすがに警察官と子どもは容疑者ではないとしても、20人近い怪しい人物が登場する。記憶力が衰えてきた自分のような年配の読者には、その理由だけで、著者の作品は短編が合っている気がする。(「ヴィラ・マグノリアの殺人」 若竹七海、光文社文庫)
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