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ノースライト 横山秀夫

著者による久し振りの新作。ある建築家が手がけた渾身の作品であるY邸。書籍に紹介されて彼の代表作となるが、何故かその建物の施主一家は行方不明、建物は放置され、そこにはブルーノ・タウトの作品と思われる椅子がひとつだけ残されていた。主人公はその謎を追いかけて、建築家ブルーノ・タウトの戦後日本での軌跡を巡っていく。謎が少しずつ解明されていく快感、建築家としての過去現在未来に向き合っていく主人公への共感が相まって、何とかハッピーエンドになって欲しいと祈りながら読み進めていく。これこそ読書の醍醐味。「64」の時もそうだったが、何年も待った甲斐があったと思える、一分の隙もない傑作だ。(「ノースライト」 横山秀夫、新潮社)

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