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週末ちょっとディープなベトナム旅 下川裕治

海外旅行のルートを決める際、重視するものは人によってそれぞれ違う。忙しくて旅行日数が限られている人にとってはいくつかの観光地を最速最短のルートで効率よく巡ることが重要になるが、時間はあるが資金に限界がある人にとっては効率よりも安上がりに済むことが重要になる。そもそも旅の目的自体、観光地を自分の目で見ることだったり、珍しい写真を撮ることだったり、その土地の生活をじっくり体験することだったりと、千差万別だ。著者の旅の目的は当然ながら紀行文を書くことなのだが、本書を読むと、とにかく色々な旅の形態や目的のニッチを目指して旅をすることの難しさがひしひしと伝わってくる。時間はたっぷりあり、資金もそこそこ、観光地には興味がなく、写真を撮ったりとか鉄道に乗ったりという特別な目的もない。カンボジアには何度も行ったがアンコールワットには行ったことがない。本書を読んで、そういう自分に合った旅とはどんなものなのだろうかと考えさせられた。本書では、紀行文の部分も面白かったが、各章の間のその土地に関するちょっとした考察が参考になった。2016年にベトナムが30日未満の再入国を規制するようになり、ベトナムとカンボジアを出張する時に、それが出張ルートの制約になった。その時は何故そういう規制が作られたのか分からなかったが、本書を読んで、そういうことかもしれないなぁと考えさせられた。(「週末ちょっとディープなベトナム旅」 下川裕治、朝日文庫)

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