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もっと言ってはいけない 橘玲

昨年のベストセラーの第2弾。知能と遺伝の関係についての最近の色々な科学的成果や発見を紹介しつつそれが意味するところを腹蔵なく語るという内容は前作と同じ。人種と居住地域別の知能指数の平均値の一覧表が掲載されていて、その内容と同時に、この分野の研究が「タブー」のように言われながらもここまで進んでいるという事実に驚かされる。本書の肝は、ある地域に住むある人種の知能指数は「その人種の長い歴史」を基礎にしつつも、その地域の「緯度(住みやすさ)」「人口密度(人との接触の多さ」「経済基盤(狩猟か農耕か)」などによって「極めて短期間で変化する」ということだ。白人中心社会のアメリカという逆境の中で知能は白人と同じ程度とされるアジア人が経済的に成功している背景、知能の高さイコール幸福な生活とは限らない現実などの解説はとても考えさせられる。(「もっと言ってはいけない」 橘玲、新潮新書)

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