goo

スノーホワイト 森川智喜

最近宇宙の本ばかり読んでいるので、ちょっと気分転換にライトノベルっっぽい表紙の本書を読んでみた。2014年の本格ミステリー大賞受賞後に購入したと思うので7年くらい積ん読だったことになる。読み始めると、設定が異世界ファンタジーのようで全く本格ミステリーらしくないのでまずびっくり。それでもとにかく面白いし、よく考えるといわゆる「本格ミステリー」というものも奇妙な構造の洋館が出てきたり都合よく嵐で外界と遮断されたりで現実とはかけ離れているのだから、そもそも「本格」とはこういうものということで良いのではないかという気持ちになってきた。最近ゾンビが出てくるミステリーなどミステリー界に新しい動きがみられるが、本書はこうした動きを先取りしている気がするし、本格ミステリー大賞の審査員もそうしたミステリーの変化の予兆を感じ取ったのではないかとさえ思えてきた。なお、本書の主人公の探偵は実は異世界の王位継承者という設定でそのライバルが極悪非道の探偵なのだが、解説を読むと本書はシリーズ作品の中の一冊でそのシリーズに必ず登場するのは極悪非道の探偵の方だと書いてあって衝撃を受けた。ぜひそのシリーズの別の作品を読んでみたくなった。(「スノーホワイト」 森川智喜、講談社文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )