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入れ子細工の夜 阿津川辰海

書評誌にミステリー新時代の旗手として紹介されていた新進気鋭のミステリー作家の第二短編集。前作もそうだったがとにかくこれまでのミステリーとは全く違う型破りの短編ばかりで、次はどんな趣向で楽しませてくれるのか、読んでいてワクワクが止まらない。本作では、過去のミステリー作品のオマージュ、パロディ的な作品が並んでいて、自分自身のミステリーの知識が追いついていないのが残念だが、それでも十分その世界の面白さが伝わってくる。特に、清水義範の作品のオマージュとも言える「2022年度入試という題の推理小説」と前作からのシリーズ作品のような「六人の激昂するマスクマン」の2編はとんでもんなくハチャメチャな内容ながら、コロナ禍の状況をうまく使いつつも本格ミステリーのテイストをちゃんと残した傑作だと思った。(「入れ子細工の夜」 阿津川辰海、光文社)
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