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可燃物 米澤穂信

昨年のミステリー関連の賞を総なめにした5編の短編が収められた話題作。主人公の警部が、山で遭難した死体に他殺の跡があるのだが凶器が見つからない事件、午前3時のありふれた交通事故だが何故か目撃者が多すぎる不思議な事件、命の恩人を殺してしまったと自首してきた被疑者が何故か動機を黙秘している事件、生ごみ収集日に頻発する放火事件、謎の多いファミレス立てこもり事件などを鋭い洞察で次々に解決していくそのバラエティさが大きな魅力だが、それ以上に簡潔に書き込まれた警察内部のやりとりのリアリティがワクワクするほど面白い。軽い学園ミステリーから歴史ミステリーまで幅広い話題作を連発する著者の今後が更に楽しみになった。(「可燃物」 米澤穂信、文藝春秋社)
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